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【緊急!!情報提供で災害支援】 浸水被害に遭った建物を守り、復旧させる手順と技術 番組「あんどうりすの防災四季だより」より

※11月放送予定の回ですが、水害被災された方々のお役に立てますよう先行ネット公開します

信州大学工学部建築学科 助教 中谷岳史氏が、自宅浸水害の現場で学んだ知恵と専門の建築環境工学の知見を活かしたお話をしています。


前編

後編

※上記放送内容の要約をまとめて以下記します。

水害後すぐに必要なこと

①情報整理
②屋外室内の安全確保
③被害状況の把握
④動画を撮る(家の外をぐるっと撮る・各部屋ごとに中央に立ちぐるっと回して撮る)
⑤動線の確保(人に手伝ってもらうため・濡れた家財を外に出すため)
 動線上の床の表面にも薄い泥がありとても滑りやすい。
 段差のあるところを降りた時などに滑って転倒し骨折する方が多い
 スリッパやサンダルでの作業はしない

水害復旧の5項目を一気にやるのが大事

①家の片付けのメンバーを集める(1軒で1ヶ月間で50人~100人が必要 夫婦二人なんて無理)
②建築会社への依頼
③行政の手続き
④建物の保険会社への連絡
⑤車の保険会社への連絡

なぜ一気にやるのか?
①②1ヶ月~2ヶ月間でいっきにやれば建物へのダメージが減る
③④⑤は、もらえるお金と出て行くお金を一気に把握して建築会社にスムーズに依頼が出来る

これをやれば2倍~3倍速い! 浸水後の床掃除の手順

①家の中のものは全部一旦外に出す(捨てるモノは道路脇に 迷うものは分けて置く)
雑巾での水拭きはしない 
雑巾で水拭きをすると泥が伸びているだけで、一日経つと同じように泥が浮かびあがり、同じことを毎日繰り返すだけとなる。手順としては、
・バケツに洗濯洗剤を溶かしてパシャっと撒く
・ゆるやかにブラシや大きなスポンジでこする(ゴシゴシするとフローリングが傷つく)
 ※台所用スポンジではなく、ホームセンターに売っているような大型。三角に切って使うと細かいところにも届く
・最後に水を全面にかけて水切りモップや水切りワイパーで押し流す。

床はなるべくはがさず 床下をダクトファンで乾燥させる

ケースバイケースだが、基本は工業用のダクトファンで床下を乾燥させる
点検口などからダクトファンを地面におろし、2ヶ月くらいつけっぱなしにする 
空気を外から室内 室内から床下 床下の空気をかき混ぜて外に出す
扇風機やサーキュレーターは代用にはならない 直進する力が弱い

素人でもやれる!内装解体の手順

①素人でもできる(建築会社の人は災害時は忙しいので役割分担する)
②15人~20人ほど必要
③壁紙をはがす ➡ 石膏ボードはがす ➡ 断熱材を外す
④乾燥させる
⑤消毒は、木材ならばオスバンやハイターなどの漂白剤
     ただし、錆びやすいので木材のみ
     透湿防水シートは漂白剤を使うと、透湿防水の能力が落ちるので水拭きだけ
⑥カビ防止にはホウ酸処理(殺虫剤のように人に害がない。しかも防蟻にもなる)

やってしまいがちだがNGなこと

・住人は現場で指示を出す人に徹する(自分でごみ処理場にゴミを運ぶなどはお任せしよう)
・捨てられないと悩むのはしない(特にお子さんや想いでのものは捨てにくい)
 悩んだら直ぐに捨てるものと、一旦考えるものと分けておく
・家の解体を躊躇しない(愛着があるので手を入れることは切ないが早く覚悟しよう カビが生える前に)
※ 中谷先生ご自身の経験から

参考資料 中谷先生講演時の資料 協力:日本ボレイト株式会社 グラウンド・ワークス株式会社

中谷岳史先生のFacebook 過去事例が写真でたくさん見られます

https://www.facebook.com/takashi.nakaya.9

参考サイト 気候変動適応情報プラットフォーム 国立研究開発法人国立環境研究所

参考サイト:中谷先生がインタビューされている記事です
https://adaptation-platform.nies.go.jp/articles/cs-042.html