近年、大地震や豪雨水害の発生が相次ぐなか、市民にとっても「防災・減災」は非常に身近な話題となっています。以前と比べ、防災の知識に触れることが増えていますが、わたしたちは覚えた知識をマニュアル化してはいないでしょうか?
この番組では、四季に合わせた「防災・減災」のトピックをあらゆる視点で紹介します。
パーソナリティーを務めるのはアウトドア防災ガイドのあんどうりすさん。
アウトドアで出会ったスキルを楽しくわかりやすく話してくださいます。
アウトドアって大変そう…防災って難しそう…そんなことないんです。
気がついたら防災の知識が身についていた!そんな時間になるはずです。
第69回となった今回のテーマは
「ハザードマップの見方について」
梅雨がなかなか明けず、雨が降り続いています。
今年もすでに全国各地で水害による被害が出ていますよね。
これから夏、台風の増える時期を迎えるなかでは決して対岸の火事ではありません。
予めしておく準備のひとつである「ハザードマップの確認」
もう見ているよ、大丈夫だよ!という方にも聞いていただきたい内容です。
大きな河川が区内を流れる葛飾区のハザードマップを参考にしてお話しています。詳しくはラジオライブラリーをお聞きください。
音声をお聞きいただきながら、文字で情報やデータをご確認ください。
放送音源
文字情報
ハザードマップの何を見る?
今週はハザードマップのお話をしたいと思います。
もう何度もハザードマップの話は聞いたからもういいよって思うかもしれませんが、ちょっといいハザードマップを見つけたので、皆さんに紹介したいと思っています。
ハザードマップ。
何度も言っていますが、まず前提として。
見た時にどこを見ますか?
西東京市浸水ハザードマップ
こちらよりダウンロードできます。
多くの人は、自宅のある場所を見て、
色が付いてる!とか赤だったとか紫だったとか、
想定される浸水深が深そうな色じゃないかっていうことが気になるんですよね。
そして、それだけ見ておしまい。「うちは色が濃かった!アウトだったーー」
そんな風に思いがちですけれども。
それを見てるだけでは、必ずしも正しく避難できないということがあります。
まず見るのは「想定」
どういうことかというと、昨今、水害による川の氾濫が増える中で、
ハザードマップの通りに浸水したねって言われる川は、一級河川とか大きな川なんです。
大きな川については、ハザードマップの通りになることが多いんですね。
なので、お家のある場所がハザードマップ上で「赤」だったら浸水する可能性があるんです。ただ、赤いと知っていても、避難をいつしたらいいかはわからないです。
浸水すると知っていても、警報がガンガン鳴っていても、
「今まで大丈夫だったからいいんじゃない?」
「隣の人逃げてないからまだいけるんじゃない?」
「ちょっと夜遅いから家にいようかなぁ」
こうやって言っているうちに逃げられなくなります。
ハザードマップで見ておかなければいけないところ、それは何かというと
このハザードマップがどういう想定で作られたものかっていうことなんです。
これ実は小さく数字で書いてあります。
荒川洪水ハザードマップ
他の自体のハザードマップでもこれはありますが、中でも葛飾区のハザードマップがすごく分かりやすいので、それを使ってお話しします。
葛飾区は荒川、江戸川、中川といった大きな川が区内を流れています。
なのでハザードマップも、それぞれの河川ごとに、洪水が起きた想定で作られているんです。
例えば、荒川洪水ハザードマップです。
想定を見てみましょう。
「荒川流域で3日間に総雨量516ミリ の大雨により、荒川下流域で堤防が決壊した想定…」このような想定をもとに作られています。
雨量や川の水位はどこで見ればいいの?
今降り続く雨の総雨量が516ミリになるかどうかっていうのがどうしたらわかるか。
1時間に100ミリの雨が5時間、6時間続いたということになれば、想定で言う「3日」が経っていなくても、600ミリにもう届いているんだということがわかりますよね。
もちろん、24時間総雨量というのは気象庁や各天気予報サイトなどを調べるとわかります。
それを調べて、総雨量が想定を超えそう!ということがわかったら、逃げられますよね。
それが目安になるんです。
その他、川から水が溢れるかどうかということは、一級河川については、国土交通省が運営する防災ポータルページ「川の防災情報」とか、
Yahoo!が提供する「河川水位情報」といったサイトでで分かりますので、ここを調べてください。
「川の上流が氾濫していたら逃げる」このようにに考えていただけたらと思います
色が塗られていないから「安全」ではない
ただそれを確認しただけでは安心できません。
これさっきも言っていますが、ハザードマップは一級河川の氾濫を想定していますが、それ以外の数多くある中小河川についてはまだデータ化されてないところもたくさんあります。
なので、ハザードマップで色の塗られていない白いところが「安全」じゃなくて、色が白くても、中小河川が近くを流れている場合は、逃げなくてはならないことが出てくるんです。
中小河川はハザードマップ化されてないというだけで、お手持ちのハザードマップでご自宅のあたりの色が白だとしても、決して安全ではないんです。
たとえば、「バックウォーター現象」ってご存じでしょうか。
河川や用水路などにおいて、下流側の水位の高低などの変化が上流側の水位に影響を及ぼす現象のこと。「背水」とも呼ばれる。大雨などにより、増水した本流の流れにせき止められる形で支流の水位が急激に上がり、合流地点の上流側で支流の堤防の決壊が引き起こされるケースもあり、その影響が及ぶ範囲は「背水区間」といわれる。
コトバンクより
この現象の影響で、支流から水が溢れ、ハザードマップでは色の塗られていない白いエリアも被害に遭ってます。
もう一つ注意すべきは「内水氾濫」
市街地などに短時間で局地的な大雨が降ると、下水道や排水路が水をさばききれなくなり、溢れだした雨水が建物や土地、道路などを水浸しにすることがあります。これが内水氾濫です。
一般財団法人日本気象協会 トクする!防災 より
この内水氾濫を想定したハザードマップも作っている自治体、作っていない自治体があります。
なので、色の塗られていない白の地域は「安全」を証明するマークではないと思ってください。
葛飾区のハザードマップのすごいところ
ここまでお話しましたが中小河川や内水氾濫も想定にいれたハザードマップを作っている自治体というのももちろんあります。
そこで、なぜ葛飾区のハザードマップががすごいなと思ったかというと、
「逃げる方向」が矢印で書いてあるんです。
例えば荒川が氾濫するおそれのあるときは、東部地域に避難しましょうというように東部の方角に向けて矢印を書いているんですね。
それだけでなく、「東京都西部や千葉方面にも親戚知人宅がある場合にはそこを自主避難先にすることを検討してみてください」というようにマップに書いてあります。
葛飾区は中川・荒川・江戸川と大きな3本の川に挟まれています。これらが一度に氾濫した時はさらに避難が難しくなりますよね。どこに逃げればいいの?となります。
そういった複数河川の氾濫を想定したハザードマップもあるんです。
浸水深だけでなく、逃げるタイミング、方向も
江戸川の洪水ハザードマップ、例えばこちらの想定は「3日間に総雨量336ミリ」というので、先ほどの荒川の雨よりも少ない段階でハザードマップの通りに浸水する恐れがあるということです。
それぞれで想定が違うんですね。
そしてそこには浸水想定区域等だけではありません。
「江戸川の氾濫によって西部地域の広域が浸水するのは氾濫発生から半日から3日後になります」というように、浸水するまでの日にちの目安が書いてあるんです。
荒川の洪水ハザードマップでも書いてあった「避難の方角」に関しても、東部地域の方は西部・南部地域に避難しましょう。
江戸川氾濫後、西部地域も浸水するおそれがある場合には荒川を越えた地域へ避難しましょうとと矢印で逃げる方向が示してあるんです。
このようなハザードマップが手元にあると避難する際の目安になりやすいと思います。
皆さんの住む自治体のハザードマップを見てみてください。
もし何も書いてなければ、自分で、逃げるタイミングや逃げる方向までしっかりと考えていただければと思います。
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参考資料
荒川・中川・江戸川洪水ハザードマップhttp://www.city.katsushika.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/022/522/a1.pdf
葛飾区水害ハザードマップ解説編
http://www.city.katsushika.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/022/522/a4.pdf
西東京市浸水ハザードマップ
https://www.city.nishitokyo.lg.jp/kurasi/iza/bosai/fusuigai/hazard_map.files/201912tizumen-dansyoku.pdf
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