こんにちは!妊活ラジオを放送しているアイジェノミクス・ジャパンです。今回は子宮内フローラのお話をさせていただきます。
無菌だと思われていた子宮内ですが、近年子宮内に細菌が住み着いて活動している状態(フローラ:細菌叢とも言います)が存在することがわかってきました。
また、子宮内フローラは妊娠に大きく関係があることが最近の研究で明らかになり、子宮内の細菌バランスを調べるEMMA&ALICE検査が日本でも先進医療に認定されるなど注目されています。
子宮内フローラの働きや、子宮内フローラが乱れてしまう原因、改善方法などを知り、健康維持や妊活に取り入れていきましょう!
子宮内フローラとは?
子宮内フローラとは、子宮内に住み着いて活動している菌の集団です。
比較的最近まで子宮内は無菌だと考えられていましたが、1990年代後半頃から、子宮内細菌の存在や子宮内細菌と慢性子宮内膜炎の関係などがだんだんと明らかになってきました。Sterility of the uterine cavity. Acta Obstet Gynecol Scand. Møller BR, Kristiansen FV, Thorsen P, Frost L, Mogensen SC. 1995 Mar;74(3):216-9. doi: 10.3109/00016349509008942. PMID: 7900526.
子宮内フローラの働き
2015年には次世代シーケンサー(NGS)を用いて、より正確に子宮内の細菌環境をとらえた研究が発表され、さらに2016年には子宮内にラクトバチルス属の菌が多いほど、妊娠率や妊娠継続率が高いことが明らかになりました。 Endometrial microbiome at the time of embryo transfer: next-generation sequencing of the 16S ribosomal subunit. Franasiak JM, Werner MD, Juneau CR, Tao X, Landis J, Zhan Y, Treff NR, Scott RT. J Assist Reprod Genet. 2016 Jan;33(1):129-36. Evidence that the endometrial microbiota has an effect on implantation success or failure. Moreno, Inmaculada et al. American Journal of Obstetrics & Gynecology, Volume 215, Issue 6, 684 – 703.
ラクトバチルス属の菌を多く保ち、子宮内フローラを良好に保つことが妊活にも役立つということですね!
子宮内フローラの中でも女性の健康に大切な菌が、ラクトバチルス属に分類される菌の仲間です。
ラクトバチルス属の菌は、いわゆる善玉菌に分類される子宮内や腟内の常在菌で、中心的な存在です。細菌性腟感染症や真菌感染症、性感染症などを予防する働きがあります。
子宮内フローラが乱れる原因は?
子宮内フローラが正常である場合、子宮内フローラの中のほとんどの菌が善玉菌です。
善玉菌が90%以上の状態では、妊娠や妊娠継続の確率が高まります。
子宮内フローラが乱れる原因としては、生活習慣の乱れやストレス、女性ホルモンの分泌の低下、免疫力の低下、もともとの体質の影響などが考えられています。
子宮内フローラが乱れるとどうなる?
子宮内フローラが乱れると、妊娠や妊娠継続率、出産率が低下する恐れがあります。 善玉菌であるラクトバチルス属の菌は、侵入してきた病気を引き起こす微生物(病原性微生物)をよせつけないように働いています。
しかし、ラクトバチルス属の菌が減ると病原性微生物が侵入しやすくなります。
病原性微生物が子宮内に入ると、それを排除しようと免疫システムが働くのですが、この免疫システムの過剰な反応は受精卵も排除してしまいます。
そのために、子宮内フローラの乱れが妊娠率や出産率の低下につながると考えられています。
子宮内フローラが改善する食べ物は?
子宮内フローラは、腸内フローラとも深く関係していることが知られています。 腸内フローラを整える食べ物を摂取することが、結果として子宮内フローラを整えることに繋がります。
腸内フローラを整える食べ物としては、発酵食品や食物繊維やオリゴ糖を含む食品が良いとされます。
具体的に次のような食べ物が挙げられます。
・発酵食品
ヨーグルト、チーズ、味噌、納豆、ぬか漬け、醤油、酢など
・食物繊維を多く含む食品
キャベツ、人参、さつまいも、アボカド、ごぼうなどの野菜類
ワカメやひじきなどの海藻類
きのこ類
大豆や小豆などの豆類
・オリゴ糖を含む食品
玉ねぎ、牛乳、はちみつ、きな粉、にんにくなど
上記の食品などをうまく取り入れ、腸内フローラを改善していくことが子宮内フローラを整えるために効果的です。
子宮内フローラの検査について
妊活中の女性など、子宮内フローラの状態が気になる方は、検査で現在の子宮内フローラの状態を調べることができます。
世界的に知られている子宮内フローラの検査は、EMMA&ALICE。子宮内にどのような菌がどのくらいいるのかを調べる検査です。
子宮内フローラの検査方法
EMMA&ALICEのような子宮内フローラの検査では、子宮に器具を挿入し子宮内の組織を採取します。
一瞬、月経痛のような痛みや出血がある場合もありますが、検査は短時間で終了します。
一般的に、検査結果は2〜3週間ほどで出ます。
検査を受けるメリット
検査を受けることは、特に不妊治療を受けている方や、妊娠を考えている方にとって、ご自身の子宮内フローラについての情報を得ることができて、下記のように、妊娠を目指す場合の有効な対応につながることが期待できます。
不妊症の原因解明
妊娠しにくい理由として子宮内フローラの異常が関係しているかどうかの判断に繋がります。
胚移植の判断材料
胚移植のタイミングや成功しない原因についての判断材料となり、子宮内フローラを改善することで着床率が上がる可能性があります。
流産の防止
妊娠前から子宮内フローラの状態を確認し、良好に保つことで流産の防止になります。
不妊症などで原因が分からず悩んでいる方は、子宮内フローラの検査を受けることで原因について手がかりが得られる場合があります。
気になっている方は、ぜひEMMA&ALICE検査を受けてみることをおすすめします。
子宮内フローラの検査費用
アイジェノミクス社の子宮内フローラ検査「EMMA&ALICE」は、先進医療として保険診療との併用が可能です。
不妊治療の先進医療とは?
https://ameblo.jp/igenomix-japan/entry-12737590952.html
EMMA&ALICE検査の費用は医療施設によって多少異なりますが、7万円前後で提供されている場合が多いようです。
今回も、最後までご覧くださりありがとうございました!