まつばらホームクリニック『ラジオ在宅NOW』!
この番組は、保谷駅から徒歩三分の場所に位置する、まつばらホームクリニックの松原清二院長に、日頃医療の現場で感じていらっしゃることをお話頂き、皆様にも在宅医療に対しての理解をより深めて頂ければと思います。
第一週と第三週に本放送、その他の週は再放送をお送りします!
【2月のテーマ】
『故人の遺志について』
皆様是非お聴きください!!
西東京市を中心に患者さんの自宅に行き、診察をしている在宅医療専門診療所「まつばらホームクリニック」のホームーページはこちら→https://m-hc.jp/
↓放送内容を文字でもお読みいただけます!
田中ヒロコ:松原先生、本日もどうぞよろしくお願いいたします。
松原先生:よろしくお願いします。
田中ヒロコ:今日はどのようなお話を伺いますか?
松原先生:今回はですね・・・正月に実家の方に帰ったんですよ。
田中ヒロコ:ゆっくりできましたか?先生お忙しいからお正月くらいは!
松原先生:ゆっくりできました(笑)僕の実家は熊本県なんですよ。
熊本県の実家、というか父の墓があるところ荒尾市というところなんです。
わかりやすいかどうか、だいたい熊本空港からなんだかんだで 3 時間ぐらいかかるところで、昔は三池炭鉱という炭鉱で町おこしをしてた場所で世界遺産にも指定されてるんですよ。
そこで父は育ったもので、お墓もそこにあるんですね。
そこでちょっとこう、息子の勝手な感想を言うと・・・えらい遠いところに墓があるなという感想なんですよ(笑)
田中ヒロコ:問題にもなっていますね、遠くてお墓参りに行けない。
松原先生:問題になってる。お墓参りに行きづらい。
それであんまり面倒見れないな。大変だな。と思いながら行ってて、なんでここに建てたんだろう。っていう風に思ってたんですよ。だって、僕東京に住んでるじゃないですか?東京に墓がある方がまめに掃除もできる。花も変えられる。いいかな。と思ってるんですけど、そんなに遠い所ってちょっと大変ですよね。
田中ヒロコ:そこに代々お墓があったって感じなんですか?
松原先生:代々じゃないですね。
うちの父の父、つまり僕の祖父からそこに作ったんですよ。
その祖父が亡くなった時に父が墓を作ったんですけど、そこの墓っていうのは丘の上にあってそこから見る景色が有明海とか島原とか島々が見えて、綺麗は綺麗なんですけど、忙しい時はこっちも見る暇ないもんですから(笑)
田中ヒロコ:(笑)お話を伺っていると、理想のお墓のイメージですね。
見晴らしがよくて日当たりが良くて。
松原先生:そうなんですよね。うちの父も亡くなる前に、その僕の祖父の墓として作った時に「あぁこの景色気に入った。ここに墓を作ろう 」って言って。
父はあと弟 2人いるんですけど、僕から見たら叔父ですよね。もうここを気に入ったらここに墓作る、と言って墓作った。
普段僕は熊本県の荒尾の墓に行く時って、まあ 1 年に 1 回か 2 回ですけど、だいたいほぼとんぼ返りに近いんですよ。
そうすると・・・「もう、そんなこと言うからちょっと大変なんだよな」と思って(笑)
田中ヒロコ:確かに(笑)時間と労力と、すぐに行ける距離ではないですもんね。
松原先生:ただね。今回ちょっと連休が長かったじゃないですか?
余裕を持ってお墓を見てみて。九州の、特に熊本のお墓ってちょっと珍しいんですけど、墓石あるじゃないですか?墓石の名前、例えば松原家とか書いてあったりすると金色で書いてあるんですよ。
田中ヒロコ:あ!西って違いますよね!?沖縄とかもすごい独特ですよね。
やっぱり東と西でお墓も違うんだなって思ってました。
松原先生:僕も改めて余裕持って見て。金色だな。すごいなって。
石は普通の黒だったりするんですが、金色なのは改めて知って「母親にあれ?金色だね」って言ったら「普通だよ」とか言われて。
田中ヒロコ:熊本はみんな金色なんですかね?
松原先生:僕が見た限りではみんな金色でしたね。
その後、Google 先生に聞いてみたんですよ。
そしたら Google 先生が、九州の長崎県、佐賀県、熊本県は金色で刻印することもあると。
金色の理由っていうのが、 Google 先生が言ってたもので僕の意見じゃないんですけど、見栄えを良くするため。
田中ヒロコ:お墓がすごい立派で見栄えするでしょうね。
松原先生:確かに立派だよなぁ、金色の刻印良いなと思ったんですよ。
それから父親が言う島原の島々が見える景色を見てたら確かに有明海が目の前に広がってて。それで下の方がちょっと雲海がかっていて。それでで島原の島々が見えて。天気も晴れていて。
これは確かにいいところだなと思ったんですよね。
田中ヒロコ:素晴らしいですよね、景色が。
松原先生:それで、翻って考えてみたんですよ。
最近お墓の管理って遠方すぎて大変で、やっぱり永代供養にしたりとかそういう話もいろいろあるじゃないですか。あとは樹木葬とか。
後世の人に迷惑かけない。そういうのもわかるんです。
例えば自分が実際お墓を作らなきゃいけないなった場合。ちょっと昔まで思ってたのが、そこの熊本のお墓とかを墓を移せばいいじゃないか、墓を移して骨だけ持ってくりゃいいじゃん、という風に思ってたんです。
でもその光景を見た時に、それは残された人の傲慢な意見だなっていう風に思って。
田中ヒロコ:松原先生の仰るお墓のそのイメージを頭に描くととても素晴らしいお墓ですし、仰る通りどっちの主観で考えるかっていうことですよね。
あれ、松原先生はどうするんですか?(笑)ごめんなさい生前なのに(笑)
松原先生:僕はもう東京ですね(笑)
もちろん墓はまだ買ってないんですけど、やっぱり妻と子供にちょっと迷惑かけちゃうのはなって。
僕はなんだかんだ言っても熊本に行けるのは、子供の頃の夏休みに大体 1 ヶ月くらい祖父の家で遊んでて、世界遺産の三池炭鉱の炭鉱電車乗ったりとか、そういうのに対して一応思い入れがあるんで行くことはできるんですけど。
妻とか子供にね。そういう経験ない人に熊本まで来てね。と思いなかなか言えないんでね。
田中ヒロコ:そうなんですね。先生もここいいなって思われたのかな?って一瞬思ったので・・・。
松原先生:それはそうなんですけど、やっぱり思いきれない。
もちろん 15 年後とかはわかんないですけど、家族に対してちょっと負担かかっちゃうなって。
田中ヒロコ:それでもお父さんとお祖父さんはやっぱりそこが最高な場所っていう風な感じですよね。
松原先生:そうそう。そして自分がそこに例えば入らないのであれば、入らないなりのお墓の対処っていうのを考えなきゃいけないな。っていうのは思ったんですよ。
田中ヒロコ:本当にこれって難しいです。
私も父のお墓って迷って決められてなくて、時間かけた方がいいってアドバイスを頂いたので。
でもやっぱり故人の意思がどうだったかって後から聞けないから、なかなか難しいところだな、って。
でも(松原先生の)お父さんはもうここだ。って決められてるっていうのは、行くのは大変なんですけど、故人がなんか満足してたらそれでいいのかな。
松原先生:故人の意見がやっぱり大切で、若い人の都合っていうか、子供の都合で変えちゃうっていうのは問題なんじゃないかな。
田中ヒロコ:だから先生は変えないでいようって変わったんですか?
松原先生:そうですね。
だから骨をこっちに持ってくるっていう考えはやめて、例えば行けないんだったらいけないで、向こうで何とかする方法を考える。
例えば本当に誰も行けなくて、しなきゃいけないってなるんだったら向こうで永代供養するというような感じで考える、と。
東京に連れてくるのはちょっと違うんじゃないかなって。
田中ヒロコ:そうですね。
でもそうやってお正月はご先祖様とちょっと繋がるところがあって。いいお正月を。
松原先生:不思議ですよね。
やっぱり仏壇の前でも、親父の写真は普通になんか会話できてるような感じになる。
こういうのは、人っていいなって。
田中ヒロコ:会いたくても会えないですもんね。
そういうところで対話ができるって・・・いいお正月でしたね。
先生、今日もありがとうございます。