2020年、コロナ禍の始まりとともに仕事を失った一組の夫婦。
インバウンド需要に支えられていたハウスクリーニング業は、観光客の激減で立ち行かなくなりました。
そこから始まったのは、キッチンカー「たこ焼き 有助」
地域とのつながりから「細く長く」続ける商いの中で見えてきたものは、、、。
たこ焼き 有助さんのお話はここからお聞き頂けます(約11分30秒)
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コロナ前に、もう始まっていた影響
2020年は、もう無職になっていた時期ですね。
その前はハウスクリーニング業をやっていました。インバウンドの影響を受けやすい仕事で、観光客向けの民泊やマンスリーマンションが多かったんです。
泊まり客の情報は基本的には分からないんですが、漏れ聞く話だと中国のお客様が多い、と。
だから「コロナ」という言葉よりも、当時は「武漢熱」っていう言い方でしたよね。向こうで流行っているらしい、という話が少しずつ入ってきた頃には、もうこちらの仕事はどんどんなくなっていました。
完全に、もろに影響を受けていましたね。
「この仕事では生活できないな」と思ったとき、次に何をするか——それを考えなきゃいけなくなりました。
夫婦で決めた、キッチンカーという選択
そのとき、うちの旦那が以前たこ焼き屋をやっていたこともあって、「粉もの屋をやろうか」という話になったんです。
ただ、店舗を借りるとなるとお金もかかるし、手頃な物件も見つからない。
じゃあキッチンカーで始めてみようか、って。
誰かに相談はしていません。
決めたのは、二人だけです。
やってみなきゃわからない、というのが正直なところでした。
自分に何ができるか。それと同時に、やりたいことでもあった。
「やれるかもしれないなら、やってみたい」って思ったんだと思います。
最初は、お好み焼きもできたらいいなと考えていました。でも、スペース的に無理で。結局、たこ焼き一本になりました。
2021年6月からスタートです。
ハウスクリーニングも知り合いから少しだけ声をかけてもらって、細々と続けながら。
キッチンカーで生まれた“縁”
――やってみていかがでしたか?
二人とも飲食経験はあったので、大変なのは分かっていました。生活リズムが変わるのはやっぱりきつい。でも、仕事そのものが嫌だと思うことはなかったですね。
キッチンカーって、お客様との距離が近いんです。
人との縁ができやすい。
SNSの力もあって、遠くから来てくださる方もいる。そこからイベントの話が広がったりもしました。
コロナの最中は難しかったけれど、明ける頃から、人とのつながりが広がっていった感じがありますね。
コロナ明け、あふれた人の熱気――柳沢団地「カラフル市場」
――思い出深いイベントは?
柳沢団地での「カラフル市場」ですね。
コロナ明けで、そろそろイベントもいいですよ、と言われ始めた頃の一回目でした。
開催したら、人の集まり方がすごかった。
お祭りも何もなかった期間が長かったですから。キッチンカーは3〜4台だったんですけど、対応しきれなくて売り切れ続出。時間内に営業できなかったお店も多かったです。
それだけ、みなさん飢えていたんだなって思いました。
――その光景を目の前にして、どんなお気持ちでしたか?
求められている、っていう感覚になりますよね。それは嬉しかったです。
しかもその場所は、普段定期出店しているすぐそば。いつも来てくださる方が、イベントでも買ってくれる。
喜んで買ってもらえていると実感できるのが、本当に嬉しかったですね。
広がったのは、地域の輪
――カラフル市場に出店したきっかけは?
団地は高齢化が進んでいて、近くにスーパーも少ない。買い物が大変だから、マーケットのような場があれば喜ばれるんじゃないか、と。自治会の方から出店をお願いされていた方が、私たちに声をかけてくださったんです。
この地域とのつながりは、キッチンカーを始めてからですね。
会場ごとに移動して販売する中で、知り合いが増えていって、輪が広がっていく。そういう感じです。
感染症との向き合い方と、情報の難しさ
――感染症への怖さは?
若干はありますね。
夏は暑いのでマスクを外すこともありますけど、基本的に人がいるところでは今もマスクはしています。仕入れの買い物でも、営業中でも。
人混みにも行かなくなりました。
一時期はスーパーでも間を空けるのが当たり前でしたけど、今はもう詰めるのが普通になっていますよね。そうなっていくんだなあ、と思います。
インフルエンザも流行っていますし、自分がかかったら大変。かかりたくないし、人に広めたくもない。
押し付けるものではないけれど、私は今まで通りやるほうがいいかな、と思っています。
情報についても、難しいですよね。
今は本当にいろんな情報が流れてくる。どれが本当でどれが嘘か、自分で精査しなきゃいけない。
SNSでも、大きな声で「これが本当だ」と言う人もいる。AIで画像も何でも作れる時代ですから、本当に大変ですよね。
信じさせ方が上手い人がやれば、パニックになりますから。
これからも「細く長く」
――これからの展望は?
基本は地域密着です。
イベントでたくさん売るよりも、決まった場所に行って、地域の方と接しながら販売する。
細く長く、やっていきたいですね。
次の世代へ伝えたいこと
――次世代へ伝えたいことは?
やっぱり、人とのつながりは大事だと思います。
何か大変なことが起きたときに、協力し合える関係をつくっておくこと。昔のご近所付き合いのようなものが、自然にできる世界のほうがいいんじゃないかな、と個人的には思います。
――地域のつながりの中で助けられたことは?
知恵を借りられることですね。
お客様だったり、飲食店のつながりだったり、キッチンカー仲間だったり。
結局は、人とのつながりなんです。
災害は、いきなり来る。
今日が平穏でも、明日も同じとは限らない。
それは思っていなきゃいけないことだと思いますね。
ありがとうございました

