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誰もいない学校を伝え続けた想い「街の不動産屋をこえて」―地域と子どもを見守った日々 「聞かせてくださいあなたのコロナ禍~私たちは何を学んだのか?」

「家を見に行きましょう」が言えない現場の混乱と、何を言われても止めなかった地域の子どもたちに向け続けた眼差し。「街の不動産屋」株式会社スプラッシュの代表 鈴木義晴さんの想いをお聞きください。

コロナ禍は、対面が前提だった不動産屋の現場を根底から揺るがしました。
「家を見に行きましょう」と言えない―当たり前だった日常が突然奪われ、現場は混乱と模索の連続に。

感染対策に追われながら非接触の内見を模索し、問い合わせ激減の中で地域の学校や子ども食堂に目を向け続けた一人の不動産業者。
見えない恐怖や世間の視線と向き合いながら、それでも地域と人とのつながりを止めなかった日々を振り返ります。

鈴木さんのお話はここからお聞き頂けます(約16分)

//// お話の文字起こしはこちらから ////

「家を見に行きましょう」が言えない――不動産業の現場で起きた混乱

仕事自体が不動産業ということなので、一番きつかったのは「お客さんに一緒にお家を見に行きましょう」ができないことでした。不要不急の外出は控えてくださいという状況で、「家を見なくてありえないでしょ」と思うような仕事なのに、それが言えない。

電話やメールで「家を見に行きましょう」と言うこと自体が誤解を招くような時期で、20数年やっていて初めての経験でした。
誘うのが仕事なのに誘えない。売りたい人のところへ行って話を聞くこともできない。
「俺、何したらいいんだろう」と本当に考えました。

手探りの感染対策――非接触の内見という異例の対応

ありったけのマスク、使い捨てスリッパ、体温計、手指消毒を買って、いつもカバンに入れて、お客さんに渡していました。

対応として評価してくれる人もいれば、「そこまでするの?」という反応もありました。

売主さんには空室対応をお願いして、密にならないようにして、買主さんには玄関前で検温や消毒をお願いして、マスクやスリッパを渡して見てもらう。
余分なところは触らないでくださいと。普段ならクローゼットやベランダも触って確認するけれど、それもNGにしました。通常の活動を止められたことが一番しんどかったです。

世間の目と発信の葛藤

毎日ブログやFacebookに投稿していたんですが、「不要不急の外出を控えろと言ってるのに自転車で動き回ってるのか」と言われたりもしました。
でも経済を回すためには必要な活動もあるし、日常を止めてまで必要以上に怯える必要はないんじゃないかと思っていました。
ワクチンや検査についても聞かれましたが、仕事柄やらざるを得なかった。正しいかどうかは分からないけど、できることは全部やったという気持ちです。

問い合わせ激減の中で始めた小学校訪問

問い合わせも激減しました。
学校も全部休みになって、「そうだ、西東京市の小学校を全部見に行こう」と思って、毎朝出社前に回りました。

先生方が正門を掃除していて、いつでも子どもたちが来られるようにしている姿を見て、すごく心に残りました。一番影響を受けているのは子どもたちなんじゃないかと感じました。

誰もいない学校を記録し、地域に伝える

学校の正門や校庭の写真を撮って、「今日はどこどこ小学校の朝の様子です」と投稿しました。
子どもが見るか分からないけど、親御さんは見るだろうし、「学校は待ってるよ」というメッセージを届けたかった。
校門から覗いたり、壁画を撮ったり、グラウンドを撮ったり、全校回りました。投稿すると批判もありましたが、それでも伝えるべきだと思って続けました。
FM西東京の「ラジオ小学校」を聞いて、すごく泣きました。地域の温かさを感じました。

子ども食堂で見た現実――交流の場を止めない

子ども食堂のボランティアもしていて、入室制限や検温をしながら続けていました。
普段10人入れるところを5人に制限して、子どもたちは待ちながら交流していました。
学校に行けない中で、交流できる場は必要だと思いました。
仕事は大変だったけど、子どもたちの負担の方が大きいと感じました。
大人は正しく恐れて、必要なことを伝え続けないといけないと思いました。

続けることの意味――子ども食堂の現場から

手伝っていた子ども食堂は一切やめませんでした。
スタッフはすごく神経を使っていました。食中毒でも出たら大変ですから。
それでも続けるにはどうするかを考えて動いていました。

発熱して来られない子のために、お弁当にして家の前に届けたこともありました。
本当はやっちゃいけないかもしれないけど、楽しみにしていた子が来られないならやるしかない。やってから怒られようと思いました。

これからの社会と日常への向き合い方

これからもコロナのようなことや災害が起きるかもしれない。
でも人は毎日生きていくものだから、日々の暮らしに感謝して、できる準備をしておいた方がいい。
頼れるものは頼るべきで、家族だけで踏ん張るのは限界がある。
毎日が特別なんだと理解して生きていく必要があると思います。

見えない恐怖と向き合った日々

感染よりも「うつしてしまう」恐怖の方が大きかったです。
お客さんや子どもが熱を出したと連絡が来るとドキッとしました。
売り上げも止まって助成金に助けられましたが、目に見えない恐怖が一番大きかった。
不動産業でバブル崩壊や震災も経験しましたが、「動くな」と言われたのは最大級の衝撃でした。

ありがとうございました。