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あんどうりすの防災四季だより 20年8月2日「被災地支援は、物ではなくお金を」

あんどうりすの防災四季だより

近年、大地震や豪雨水害の発生が相次ぐなか、市民にとっても「防災・減災」は非常に身近な話題となっています。以前と比べ、防災の知識に触れることが増えていますが、わたしたちは覚えた知識をマニュアル化してはいないでしょうか?
この番組では、四季に合わせた「防災・減災」のトピックをあらゆる視点で紹介します。
パーソナリティーを務めるのはアウトドア防災ガイドのあんどうりすさん。
アウトドアで出会ったスキルを楽しくわかりやすく話してくださいます。

アウトドアって大変そう…防災って難しそう…そんなことないんです。
気がついたら防災の知識が身についていた!そんな時間になるはずです。

 

 

第70回となった今回のテーマは

被災地支援は、物ではなくお金を

先月の「令和2年7月豪雨」では全国各地で大きな被害が出てしまいました。
いまも被災地では多くの方が避難生活をされています。
参考: 内閣府資料 令和2年7月豪雨による被害状況等について

被害を受けなかった地域の方の中には
「被災地域の助けになりたい」
そう思う方が多くいらっしゃいます。これは素晴らしいことです。

ですが、その気持ちが少しズレてしまうと被災地の負担になることもあるんです。

今回の放送では、あんどうりすさんがボランティアで支援に入られる方々からお聞きしたお話をご紹介しています。

良かれと思ったことが、被災地を疲弊させている?
「被災地支援は、物ではなくお金を」
どういうことでしょうか?

詳しくはラジオライブラリーでお聞きください。


 

放送の文字起こしを、記事と同じページに掲載しています。
音声をお聞きいただきながら、文字で情報やデータをご確認ください。

   

 

放送音源

   

 

 

文字情報

 

 

被災地支援の方法の一つ「プッシュ型支援」

今週は「被災地支援には物ではなくお金を」という
ちょっと露骨なお話をさせていただきたいと思っています。

先日、三重県いなべ市危機管理課職員の大月浩靖さんにお話を聞く機会がありました。
大月さんは、全国各地の被災地に支援に入り、公務員の方に支援物資の仕分けの仕方等を指導されています。その活動の様子から「スーパー公務員」と言われている方です。(大月浩靖さんプロフィール

今週は、大月さんのほか、被災地支援に入っているボランティアの人たちからも聞いたお話を元にお話します。

今、発災時の自治体への支援のひとつとして、国からプッシュ型支援という形があります。

今までは、被災地から「〇〇が足りない」と要請があってから、物資の支援が入っていたのですが、それだと物資が届くまでに「足りていない時期」が出てしまうので、要請を受ける前に送るというプッシュ型支援という方法があるんです。

発災当初は、被災地方自治体において正確な情報把握に時間を要すること、民間供給能力が低下すること等から、被災地方自治体のみでは、必要な物資量を迅速に調達することは困難と想定されます。

このため、国が被災府県からの具体的な要請を待たないで、避難所避難者への支援を中心に必要不可欠と見込まれる物資を調達し、被災地に物資を緊急輸送しており、これをプッシュ型支援と呼んでいます。

内閣府 防災情報のページより

 

 

混載物資は開封されないことも

今回の九州を襲った豪雨では、トラック10台分ぐらいの支援物資が、ひとつの自治体の市役所に入ってくるというレベルで支援物資が届いたんです。
ですので、被災地では、早い段階で物資が足りている状態になりました。
なので、自治体からももう足りています、送ってこないでくださいと、早めに発信されました。

大量の支援物資が届くと、それを仕分けするのが大変だったりします。
なので大月さんたちは、民間の企業に置き場所を依頼するなどの手配をササっとされました。
ですので、運営はスムーズに進んでいたのですが、それでもやはり「余剰物資問題」というものが出てきます。

例えば、個人の方が支援物資を物で送ってしまう時に多いのが、ひとつのダンボールの中に色々とモノを詰めてしまうということ。
これは仕分けの人数がたくさん必要になります。

そうすると、今、新型コロナウイルスの影響で人手が足りないのに、仕分け作業に人手が取られてしまうんです。

最近では、そのような「混載物資」といわれるものは、仕分けができないために、開封されることがないような状態になってしまいました。

 
 

中古品は余剰物資になる?

また、被災すると、今は企業が新品をたくさん送ってきてくれます。
なので、中古品を送ってしまうと、それらは余剰物資になることがあります。

例えばランドセル。
「足りないかな?」と被災地の子どもたちのために、自分が大事に使ったランドセルを送ろう!という方がいますが、被災地では企業から新品が送られることも増えています。
そうすると、やっぱり…皆さん新品をお受け取りになります。
こういう理由から、中古品は余剰物資になってしまいがちなんですね。

阪神淡路大震災でも余剰物資の処分に2,300万円もかかったと言われています。
過剰に余った物資は処分も大変になってきます。
支援は物よりお金が大事だと言われるようになっているということを知っておいてください。

余剰物資になってしまいがちなもの

他にもこんな事例もありました。
企業がまとまった数の新品を送ってくださるのはいいことなんですが、時に在庫品のようなものが送られてくることがあるそうです。
実際にあった事例としては、長靴。29センチのサイズの長靴がたくさん送られてきたそうです。
足が29センチサイズの人、そうそういるわけじゃないですよね。
そうなると被災地でも困ってしまいます。

ですので、被災地が本当に必要しているものを送るということができればいいですよね。
何が必要かというのを聞いて、マッチングしてから送るということがとても重要になります。

また余剰物資として有名なのが実はお水なんです。
お水は災害直後は足りないことがあるんですけれども、色々な形で送られてくるので余剰物資になりがちなんですね。

また、オムツもそうなんです。
オムツも、たくさんの人から送られてくるので、倉庫をいっぱいにしがちな物ということは知っておいてください。


 

被災地のニーズと支援のマッチング

ただ、避難所ではこんな風に余剰物資が出ている一方で、在宅避難や車中泊の人に支援物資が届かないっていうことはよくあります。

それは物資がないのではなくて、情報や物流に問題があることが多いのです。
ITを活用し、被災地のニーズと支援を適切にマッチングすることが、今後重要になってくると言われています。

そして水害や活断層による局地的な地震(地下の比較的浅いところで発生するため被害が局地的になることがあります)だったりする場合には、被災した地域が限られている場合があります。
そういった時は、被害の少なかった近隣の市町村ではすぐにお店が再開します。
過剰な支援物資は、動き出した自治体の経済を圧迫することがあるんです。
地元の経済を守るためにも、物資を送るのではなくて、地元でお金が落ちていくように、地元のお店で買ってもらう。物資を送りつけすぎない。

 

被災地支援は、物ではなくお金を

つまり、送るとしたらお金が一番被災地を助けることになるということ…
ですね。クドいですね(笑)

なんでクドく言っているかというと、ボランティアに入られる方に聞いたんです。
今でも、「どうしてもお金じゃなくて物を送りたいんだけど」という問い合わせが結構来るんだそうです。

ボランティアの方々が話していらっしゃいました。
「せっかくの善意を断るのはつらい」
このような声を聞いているので、私もクドく言ってみました。



このようなことを言うのは一部の人だけなんだと思いますが、被災した自治体にこんな声もあったそうです。

「物資を送ったのに何で配らないんだ」

「送られたものがどのように配られたか報告書をあげてほしい」

「物資を受け取っている写真が欲しい」


そういったことまで求められると被災地は疲弊します。
「ありがとう」という感謝の言葉を被災者に求めないと言っているボランティアの方もいるということを心にとめておいていただけたらと思います。

被災した知人にきちんとマッチングしてから支援物資を送るということは、もちろんアリです。

それと。
自分が将来被災した時のために、備えをしっかりする、つまり未来の自分に支援物資を送る…これも災害対策としては重要です。

被災地支援は物ではなくお金」これを覚えておいてください。

 

 

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今回は、「被災地支援は、物ではなくお金を」ということについてお伝えいたしました。

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