りす:今回から2回に渡って、「いま能登を想う」というオンライントークイベントでの様子をダイジェストでお聞きいただこうと思っています。
このトークイベントでは、2007年と、2024年1月1日の両方の能登半島地震を経験された大倉好子さんをお招きしてお話をお聞きしております。
近年、大地震や豪雨水害の発生が相次ぐなか、市民にとっても「防災・減災」は非常に身近な話題となっています。以前と比べ、防災の知識に触れることが増えていますが、わたしたちは覚えた知識をマニュアル化してはいないでしょうか?
この番組では、四季に合わせた「防災・減災」のトピックをあらゆる視点で紹介します。
パーソナリティーを務めるのはアウトドア防災ガイドのあんどうりすさん。
アウトドアで出会ったスキルを楽しくわかりやすく話してくださいます。
アウトドアって大変そう…防災って難しそう…そんなことないんです。
気がついたら防災の知識が身についていた!そんな時間になるはずです。
音声をお聞きいただきながら、文字で情報やデータをご確認ください。
文字情報と合わせてラジオライブラリーもお聞きください。
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文字情報
トークイベント「いま能登を想う」
りす:早速ですが、まずは大倉さんの自己紹介からお聞きいただき、続いて2024年1月1日の地震が起きたその時、目の前で大切なお家が全壊した中、命を守れたお話。
そして避難所での運営を乗り越えられたお話。こちらを続けてお聞きください。
大倉さん:私は能登半島の石川県輪島市門前町道下という、海辺の町に住んでいる大倉と申します。
2007年に被災しまして、その時自宅は半壊しました。
それから今回の1月1日の地震では、自宅が全壊になりました。そういうところです。
りす:本日は2024年の地震にあった当時の体験談をお聞きしたいのですが、本震と呼ばれる大きな地震が起こる少し前、最初に小さな地震があったんですよね?
大倉さん:そうですね。ちょっとガタガタっとしました。
その時は「また珠洲が震源か」という、そういう意識で皆さんいたと思うんですね。
それで「また珠洲だわ」っていう感じで一度皆さん立ち上がって、家の中でちょっと右往左往をした後、落ち着いて「また珠洲か」ってという感じでテレビを見てたと思うんです。
それでちょっと落ち着いてから、本震が来たっていう感じなんですよね。
りす:大倉さんは最初の地震の後、避難されようとしたんですよね?
大倉さん:そうです。最初の地震の時に1回外に出まして、収まったので中に入りました。
中と言っても玄関よりちょっと奥ですかね、そこらへんに戻ったとき、すごい揺れが来ましたので、私が先に外に出まして、その後を追いかけるように夫が家から出たんですけど…。
もう本当に瞬時に判断して「出よ!」っていう感じで出たので、主人とも助かったっていう感じです。
多分、躊躇してたり、スマホ持っていこうと思ったり、なんかそういうふうにしてたら多分家の下敷きになってたと思います。
りす:スマホですね。特に学生さんとかスマホを取りに行っちゃいそうというのはあるかもしれませんね。
大倉さん:そうですね。今回もスマホを取りに行くと言って家の中に戻って、亡くなった方は結構いらっしゃいました。私の後輩の奥さんがやっぱり「スマホ取りに行く」って言ってコタツのところまで戻って、玄関のところの大きな梁の下敷きになってしまったので…。
地震の時はまず絶対に迷わずに何もないところに逃げるっていうのが一番だと思います。
りす:安全な場所に瞬時に判断して移動することが大切ということですね。
ただ家の外に出た瞬間、もう3秒ぐらいで家が倒れたそうですね。
大倉さん:そうです。私の目の前で「1,2」って家が揺れまして、うねるようにして、潰れました。
潰れるというか座ってしまったというか。
りす:旦那さんは近くにいたんだけど、そのままの車の下敷きになりそうだったそうですね。
大倉さん:そうなんです。夫は私の後ろからすぐに出てきたのですが、玄関を出てすぐに転んでしまいました。私も一緒に転びました。
今回の地震ですが、今から考えるとやっぱり、4メートルという高さを地面と一緒にみんな一気にポンッと上がったんですよね。
多分4メートル一瞬のうちに上がったんだけれど、一緒に上がったもんですから、誰もそういうこと気がつかずにトランポリンの上に乗っているかのような、そんな感じでだったみたいで、家の前にあったトラックの横にうちの主人が転びまして、それでボンボンボンボンってトラックがタイヤと一緒に飛び跳ねるんですよね。
ジャンプするんですよ。
「ああこの下になったらもう本当に怪我ではすまない」っていうそんな感じでしたね。
それで自分の体が自由にならないというか、自分の意志では全く身動きができないという感じでした。
りす:それでも外に出たからその時は助かったんですね。
ですが、実はその家は2007年の地震の後に耐震補強で、学校にあるような、Xの鉄筋の補強材を7本入れていらっしゃったということなんですけれども。
大倉さん:鉄骨の筋かいを7箇所入れて、それでその時の業者さんは「これでどんな大きい地震が来ても大丈夫だ」と断言してました。けれども、脆くも目の前で2秒もたたずに家が潰れてしまいました。
りす:地質やお家の構造を調査している方が、YouTubeの動画でお家が倒壊するシミュレーション動画のようなものがありましたが。
※住宅性能診断士ホームズ君You tubeチャンネルより
シミュレーション動画は8分30秒以降
全編(全15分)はこちら↓
https://www.youtube.com/watch?v=3DMhDX_Kj8Q
大倉さん:初めて聞いて今見たんですけど、すごい精巧にできているなと思ってびっくりしました。
こういうものをどうして再現できるのだろうと思いました。
りす:地質的に砂地だったという事もあり、想定外の揺れが起こってしまったという事もあり、耐震補強してても、こんな風に潰れてしまったお家がいくつかあったそうですね.そして外に出られて避難されるわけですが、避難所に行かれてからはどんな感じでしたか。
大倉さん:そうですね。避難所に行きましたら、私の3軒隣に住んでいた「娘さんお二人とお母さんを亡くされた方」と避難所で一緒になったんですけれど、その方が本当に自分の娘さんが家の下敷きになって、手が冷たくなるのを、それを触って。
どうしても助け出したかったのに、大津波警報が出たので、どうしても娘さんも助け出すことができなくて、ご夫婦で逃げてきたっていうそういう方なんですけれど。
もう本当に大変な中でしたけれど、その方がその晩1回だけ号泣するのを見ました。それでそこの床が木だったんです。
それでそこに泣いてたんで畳の部屋へ誘って、そこへ畳のところに「とにかく寝て」って言ってその晩は過ごしました。
今から考えると彼女が泣いたのを見たのはその時だけでした。彼女は若かったので、避難所では戦力になるんですよね。
それで避難してくる方はほとんど高齢者なので、高齢者はおトイレも近いし、夜中のおトイレの回数も多いですし、毎日のように痴呆が進むんです。
避難所でまず一番大事なのは「衛生面」ですよね。
この避難所からは感染症は絶対出さないでおこうということと、病人を出さないということを目標にみんなで頑張りました。
それで田中先生という方が2日目に来てくださったので、そのときに次亜塩素のハイター買ってきてくださいって言いました。
そしたら次の日、3日目の日に買ってきてくださったんですけれど、それはキッチンハイターで、キッチンハイターではそれは効かないと私言ったんですけれど、まあそれでもとにかく消毒とお掃除ですよね。
トイレの周りはきれいにするとか、避難所のルールづくりをきちんとしたら、絶対にそれはうまくいくということを、前回の17年前の地震で被災したときに経験していたので、それを皆さんに周知して一緒にやってきました。
りす:お二人の娘さんとお母さまを亡くしたにもかかわらず、やっぱり若手だということで、避難所運営を頑張っていらっしゃったということですね。
大倉さん:彼女は本当に娘さん二人とお母さんを一緒に亡くしたんですけれど、ご主人とかおじいちゃんと一緒にそのご家族で、娘さんお二人とおばあちゃんが亡くなったっていうことを、一緒に悲しむとか、悼むとかそういう時間が全く持てずに、避難所運営に携わっていなきゃいけないっていう、そういう辛い思いを本当にしてたんだと思うんです。
だけど、彼女も必死になって、私と一緒に避難所運営に協力してくれましたし、そのことを彼女は、「それはみんなのためにやったんじゃなくて、自分がそういうことを関わることによって、一瞬でも忘れられるから。
子供のことも婆ちゃんのことも忘れられるから、一生懸命やった」ってそう言っています。今も。
でも今でも集会場運営を彼女とやってるんですけれど、彼女の口から亡くなったご家族のことを話すことはあんまりないし、私たちもそれに触れないようにしています。
彼女が何か娘さんのことを言ったら「まあそうだよね」とかっていう、それに同調するようなそういう言葉掛けくらいはちょっとしますけれども。
りす:なるほどなるほど。
りす:ここまでは11月に行われた「今能登を想う」というトークイベントの一部を録音でお聞きいただきました。
次回もこの続きをお送りします。ぜひ皆さんにお聞きいただければと思っています。
あんどうりすの防災・減災 りす便り
https://andorisu.jimdofree.com/
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