近年、大地震や豪雨水害の発生が相次ぐなか、市民にとっても「防災・減災」は非常に身近な話題となっています。以前と比べ、防災の知識に触れることが増えていますが、わたしたちは覚えた知識をマニュアル化してはいないでしょうか?
この番組では、四季に合わせた「防災・減災」のトピックをあらゆる視点で紹介します。
パーソナリティーを務めるのはアウトドア防災ガイドのあんどうりすさん。
アウトドアで出会ったスキルを楽しくわかりやすく話してくださいます。
アウトドアって大変そう…防災って難しそう…そんなことないんです。
気がついたら防災の知識が身についていた!そんな時間になるはずです。
第87回となった今回のテーマは
「災害時の食物アレルギー対応」
日本では何らかのアレルギーを有している方が増えています。
その中には食物アレルギーを持つ方もいらっしゃいます。
アレルギーを持つ方が、平時では注意できていることも、避難所生活などではそれが難しくなってしまいます。
なぜでしょうか。
災害時、アレルギーを持つ方が生活しやすくなるために、周囲はどのようにすれば良いでしょうか。
詳しくはラジオライブラリーをお聞きください。
音声をお聞きいただきながら、文字で情報やデータをご確認ください。
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文字情報
災害時の食物アレルギー対応の重要性
今週は、災害時の食物アレルギー対応についてお話します。
今、何らかのアレルギーを持っているという方は、「二人に一人」と言われています。
その中でも食物アレルギーについては「十人に一人」という状況です。学校の給食でもアレルギーの対応をするようになってきていますね。
昔はひどかったんです…。
「好き嫌いの問題じゃないか」と思われたり、「親の躾が悪い!」みたいなことにされたりすることも。今は「ちゃんと1人1人違うという考えを徹底しましょう」…ということになり、農林水産省からも「要配慮者のための災害時に備えた食品ストックガイド」という資料が出ていたりします。これには災害時のアレルギー対応について書かれています。
「要配慮者のための
災害時に備えた食品ストックガイド」(PDF:8,170KB)
高齢者の方がちょっと柔らかい食べやすいものを食べるのと同じように、アレルギーをもつ人たちへの食物アレルギー対応の重要性が書かれています。
具体的な声かけの方が答えやすい
農林水産省の資料に、東日本大震災発生後の物資不足の状況において、アレルギー対応食品を入手できなかった期間ことについて書かれたがあります。
これによると
「一週間以上アレルギー対応食品を入手できなかった」と回答した人が半数以上。中には「一ヶ月以上入手できなかった」と回答されている人もいます。
東日本大震災の時は、特に物資の支援や避難所運営も全くうまく回っていなかった時期なので、特にひどかったということはあるんですが、一週間も食べられない状況っていうのは本当に避けなければいけません。
食物アレルギーがあるお子さんを持つ当事者団体の方などにお話を伺った時、聞かれた声が「被災した時、アレルギーがあります。困っています!」と声をあげるのは本当に難しい。ということなんですね。
例えばこんなことがありました。支援者の方々が避難所を廻ってきた際
「大丈夫ですか?」と声をかけられると、つい「大丈夫です!」と答えてしまうんです。
本当はアレルギーのことで困っているのに、そのことが頭から抜け落ちて、言わなければいけけないことだった!と後から気づくということがあります。
ですから、支援者の方は「大丈夫ですか?」ではなく「アレルギーなど困っていることはありませんか?」というように具体的に声をかけてあげると相手は答えやすいかもしれませんね。
当事者が言いづらい現状を理解する
また、福島県いわき市にお住まいの方、この方は東日本大震災で被災しているんですが、この前の台風の時にも浸水被害に遭っています。
ご自身の被災した体験から、次の災害のために連携作りをたくさんされていたそうなんです。それでも今回の洪水の時に、車が水没して炊き出しの場所に行けなかったり、それから食べられるものを用意してくれるという発想にならなかったから 避難所に行けない。
そして、行ったとしても、食べ物の原材料を聞くのが怖かった、
原材料を聞いても断られたりということがたまにあるので、怖くて聞けなかったということなんですね。
また、炊き出ししている方も同じ被災者なんですよね。
それを思うと、「原材料名とか聞くだけでも、わがままだと思われてしまうんじゃないかと言い出せなかった」という声もありました。
支援を受けられるように練習していても、なかなか当事者の方が言い出せない現状を皆さんに知っておいていただければと思います。
だからこそ、事前にアレルギーを持っていらっしゃる当事者団体、地元の支援者の方々が様々な立場の方があらかじめ繋がって運営について話し合っておくということが大事ですよね。
牛乳パックをまな板がわりにするのも注意
例えば、牛乳パックでまな板が作れるというようなライフハックがあるんです。
牛乳パックが災害時にはまな板になります。便利ですよねって言われたりするんですが、牛乳アレルギーがあるお子さんにとっては、牛乳パックのまな板だと、全部の食材に入ってきてしまう危険なことになってしまうので、それはやめておいて欲しい…というようなことは、当事者でないとなかなか気づきにくいところですよね。
また可能であれば、商品パックの後ろにある原材料名が書いてある部分を切り取って貼ってくれるとありがたいです。ひと目でどんな食材が入っているかわかります。
ただし、実際にそれ以外のものも混入する可能性は被災時ですので当然あります。
例えば、食材も色々なものを寄付していただきますが、業務用のもの…ニンニクのチューブだったんですが、何も表示がないけど大豆がが入っていたということがあったそうです。
そういったことを全てボランティアの人が対応するのも大変ですよね。
だからお互い、あらかじめ原材料を貼っておくけど、それで全部じゃないよということを了解しておく。
それから、食材が表示されているところに
「他の食材も入っているかもしれません、注意してください」
と書かれると、「注意してください」…って言葉がきついという声もあります。
なんだか食べるなって言われているみたいに感じてしまう。
そんな時は「ひとこと声をかけてください」みたいな書き方にするといいですよね。
さらに新型コロナ感染拡大する中なので、炊き出しではなく他の方法を再検討するということもアリですよね。
地域の人と繋がって、事前に様々な立場の人と話し合っておく。
これがやはり災害対策には重要です。
そして何より各自の備蓄も忘れないようにしていただければと思います。
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今回は、「 災害時の食物アレルギー対応 」についてお伝えいたしました。
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