まつばらホームクリニック『ラジオ在宅NOW』!
この番組は、保谷駅から徒歩3分の場所に位置する、まつばらホームクリニックの松原清二院長に、日頃医療の現場で感じていらっしゃることをお話頂き、皆さまにも在宅医療に対しての理解をより深めて頂ければと思います。
第1週と第3週に本放送を、その他の週は再放送をお送りします!
【8月のテーマ】
『熱中症の話~2025~』
皆様ぜひお聴きください!!
西東京市を中心に患者さんの自宅に行き、診察をしている在宅医療専門診療所「まつばらホームクリニック」のホームページはこちら→https://m-hc.jp/
↓放送内容を文字でもお読みいただけます!
田中ヒロコ:では松原先生、本日もどうぞよろしくお願いいたします。
松原先生:よろしくお願いします。
田中ヒロコ:先生、まだ仕事着ですよね。
松原先生:そうですね。
田中ヒロコ:今日忙しい合間のラジオということですが、よろしくお願いします。
松原先生:はい、よろしくお願いします。
田中ヒロコ:今日はどんなお話し先生を伺いますか?
松原先生:暑くないですか?最近。
田中ヒロコ:暑くてもうね、すべてのやる気を失ってます。暑いですよね。
松原先生:結構僕頭がボーッとしていることが多いんですよ、仕事を終わると。
田中ヒロコ:それはやっぱり暑さですか。
松原先生:なんかこうモアンモアンした感じがして、それで体を冷やしたり、水分を多めに摂ったり、睡眠をしっかりとると症状消えるんですよ。あと世の中、今日なんて比較的そうったと思うんですけど、気温が低くて湿度が低いと大丈夫だったんで。ということは熱中症ですよね。
田中ヒロコ:そうですよね。でも体温越えの暑さとかがずーっと続いているので、これってみんな感じてますよね。
松原先生:僕が対象にしているのはもちろん病気を患っている人なんですけど、それだけじゃなくて元気な人もみんな調子は悪い。
田中ヒロコ:そうですよね。でも先生忙しいから。いろんな所を回ってらっしゃるので。でも先生の患者さんは大丈夫なんですか?この暑さ。
松原先生:いやー、ご年配の人って暑さに対して感覚が鈍いんですよね。だから、むしろ毛布をまとったり。
田中ヒロコ:エアコンつけて?
松原先生:つけずにね。
田中ヒロコ:つけずにですか。
松原先生:最近もあった話としては、ご自宅でご療養されていて旦那さんと息子さんは外に出ていて夕方5時くらいに帰ってくると、部屋がもう蒸し暑いと。で、お母さんは毛布羽織ってて。それで当然冷房をつけるじゃないですか。そうすると30分くらいすると寒いって言って着るんですよ。
田中ヒロコ:でも寒さを感じる?
松原先生:感じる感じる。それで息子さんが「馬鹿言ってんじゃねぇ、熱いんだよ」って言って冷房つける。「寒いのよ」って言ってまた消すの繰り返しが続いちゃって、患者さんの調子が悪いって話があったんですよ。
田中ヒロコ:先生の患者さんは寒いって感じるってことは別に冷房つけなくても、体調的には全く問題ないですか?
松原先生:そこが結構重要なポイントで、体表から水分は汗とは違う形で出ていくんですね、揮発されて。そうするとどんどん脱水が加速していって元気がなくなっちゃうんですよ。
田中ヒロコ:じゃあご本人は寒いって感じてても脱水症状なってたりとかっていうことはあるんですね。
松原先生:そうそう。だから暑いと思わずしてむしろ寒い思ったりして毛布をかけることによってさらに汗が出ていってしまう。
田中ヒロコ:喉渇いたとかもあんまり感じない。
松原先生:あまりない。そこはね、ご年配の人の熱中症の管理の難しさ。
田中ヒロコ:そうですね、そうすると周りがしっかりとちゃんと見てないと危ない、命にも危険が。
松原先生:そこが結構難しくて、そう思うじゃないですか。周りが見てないとって。
田中ヒロコ:そうなんですよ。
松原先生:でもさっきの話だと親子喧嘩が発生したり、夫婦喧嘩が発生したりするんですよ。で、「先生何だかわかんないけど調子悪い」って言われちゃって。「そうじゃなくてもともとのご病気の進行もあるんだろうけど熱中症もあるんだよ」って話をすると、「そうかしら」みたいに納得されないんですよ。
田中ヒロコ:じゃあご自身は全く自覚がないんですね。
松原先生:去年ちょっとね、色々お見せしたやつで、これはタニタから出てるやつなんですが、熱中症指数っていうのがあって、輻射熱とか湿度とか、実際の外気温とかを総合的に評価して熱中症指数を出して、注意警戒、厳重警戒、危険っていう風に出てくるんだけど、ここらへんのマーカーを見せて「あなたは今この環境にいるから危ないよ」って言って、「あ、そうなの?」って言って渋々納得してもらうようにしています。
田中ヒロコ:先生もね、ストップウォッチみたいな形の、普段からもう最近は首からかけてらっしゃる?
松原先生:間違いなくやってます。
田中ヒロコ:今はどうなんですか?
松原先生:この部屋は注意レベルです。
田中ヒロコ:これ涼しく感じるのに注意レベルなんですか?
松原先生:湿度が63.4%で、外気温が26.9℃だとまだ注意レベル。だからもうちょっと除湿した方がほんとはいいんですけど、今除湿してるんですけどね。
田中ヒロコ:26.9℃だったら全然いいんじゃないと思っても、結局湿度とかが高かったりとかそういうものも影響してくるってことなんですね。
松原先生:ですから気温とか湿度とか輻射熱とか、そういったところが3つ絡まって大体不快指数っていうのが決まってくると。
田中ヒロコ:といっても本人が不快に思わなかったらってことですもんね。
松原先生:だからそこのギャップを埋めるのがこの指数計かなと思っているんですよ。
田中ヒロコ:見える化するとみんな人って納得するんですね。
松原先生:だからあなたは感覚はそうかもしないけど、こういう指標であなたはこういう環境でいるわけだからそこは特殊化しないで納得してくださいっていう話をしてます。
田中ヒロコ:先生が言うとまた納得ですよね。家族とかだとやっぱりなかなかね、そういうのって、家族でもあって、会社とかでもそうだけど、私はエアコン嫌い、風が嫌い、熱いって人もいるし。だけど先生がこうやって数字を実際見せてくれてっていうと、ああそうなんだってすごい納得できる。
松原先生:そういう風に思ってくれるといいですよね。第三者が言うことで納得。でもね、環境調整が一人だと難しいんですよね。全くの一人暮らしの人だったら自分自身の人生をそのまま全うするというのも一つの考え方かもしれないけど、ご家族の方も数人いてその患者さんもいてというと中々そうもいかないし、そうなってくるとやっぱり入院しようかという話になってきちゃうんだよね。だから治療っていうよりも環境っていうか。環境もそれだけだったら病院なの?って感じもあるんですけど、施設とかでもよくない?みたいな話になってくるんですけど、だいたい施設をよく利用している人だったらいいんだけどあまり使ってない人とか施設側の人も分からないですしね。まずは病院で調整という気持ちになりがちなんで、しょうがないのかなというふうに思ってみてますけど。
田中ヒロコ:そうなんですね。でも日頃の生活っていうのが、ご病気されながらでも健康には重要ってことなんですね。
松原先生:めちゃくちゃ重要ですよ。だからこの熱中症の時に強く感じさせるのは、人の健康って、日頃の衣食住の中で、住っていうのは結構重要なんだなっていうのを改めて感じます。
田中ヒロコ:そうですね。それが先生が入ってくれていることによって、これでいいんだとかこうした方がいいんだっていうことを意識できるからいいですよね。おうちの環境を見てくださるっていう在宅医療。
松原先生:それはそうですよね。だから結構難しいのがさ、暑さ指数とかさっきの輻射熱とか、日差しの照り返しとか、そういうので不快指数が上がるって話したじゃないですか。そうするとベッドが窓際にあって日差しが結構ある家で温める家とか、それはじゃあシャッターをおろしましょうって話にはなるんですけど、そしたら朝も夜もなくない?みたいな話になっちゃって。それは患者さんにとって日内変動の切り替えができないから、ベッドの位置をちょっと離してとかそういう話になってきたり、離してシャッターを開けるとか窓を開けるという話になってきて。意外に治療という事以外の環境に関して頭ひねることが多いですよね。
田中ヒロコ:そっか。住んでらっしゃるところを見ているから、その位置とか。インテリアコーディネーターみたいな(笑)
松原先生:でも本当そんな感じ。
田中ヒロコ:そうですよね。環境を整えてくれるっていうのも、やっぱり先生の中では、そこが仕事だったり。通院とかだとこの人どういう環境なのかとかは分かんないですよね。
松原先生:それは絶対分かんないですよね。基本やっぱり病気に対してだけ集中したいからね、あんまり環境までは行き届かないし、他の人の仕事になってくる。
田中ヒロコ:そうですよね。わかりました。そういったところでも助けられてるってことなんですね。
松原先生:在宅医療ってそういう面はあるんじゃないですかね。そう思います。ありがとうございます。
田中ヒロコ:うちもちょっと見直してみます。
松原先生:重要かもしれません。
田中ヒロコ:今日もありがとうございます。