まつばらホームクリニック『ラジオ在宅NOW』!
この番組は、保谷駅から徒歩3分の場所に位置する、まつばらホームクリニックの松原清二院長に、日頃医療の現場で感じていらっしゃることをお話頂き、皆さまにも在宅医療に対しての理解をより深めて頂ければと思います。
第1週と第3週に本放送を、その他の週は再放送をお送りします!
【5月のテーマ】
『在宅医療とラジオについて』
皆様ぜひお聴きください!!
西東京市を中心に患者さんの自宅に行き、診察をしている在宅医療専門診療所「まつばらホームクリニック」のホームページはこちら→https://m-hc.jp/
↓放送内容を文字でもお読みいただけます!
田中ヒロコ:では松原先生、本日もエールですよね。
松原先生:今回は70代女性の、Sさんという方です。この方ですね、もともと私のほうでは血液の病気があって、それで毎週血小板輸血をやっている人なんですね。
一応大腸がんの手術をされて、その後の経過ということで、病院のほうに今回ご入院されたということですね。ところが非常に難しいご状態なんですね。それで、結局入院が長引いてしまっていると。
田中ヒロコ:そうなんですか?
松原先生:なんかもう1ヶ月ぐらい入院しているかな。
田中ヒロコ:そうなんですね。
松原先生:それで僕としては、ちょっとその人との思い出とか、その人に対してのエールとかを送れたらなあというふうに思っているんですけど。
その人ですね、血液のご病気があって血小板輸血をやっているんですけど、血小板輸血ってちょっと副作用があったりもするもんですから、だいたい20%ぐらいって言われているんですね。
なので輸血をやっている最中に僕が1回見に行って、輸血が終わったあとも経過を見に行かないとちょっと不安なんで見に行っているんですね。
一応、輸血をやっている最中ってアレルギーが起こらないように、抗アレルギー薬というアレルギーを抑えるようなお薬を予め落とすんですけど、皆さん花粉症とかやられたことあります?
田中ヒロコ:花粉症です、真っただ中です。
松原先生:でそういった薬飲むと眠くなりません?
田中ヒロコ:よく眠れます。
松原先生:ですよね。やっぱりそういったアレルギーを抑える薬を使うと、輸血をやっている最中やっぱり眠くなっちゃうんでぼんやりするんですけど、私がその時一回行って終わった後、もう一回行くとその時は結構シャッキリされているんですよ。
シャッキリされている時にお話をすると、(その方は)輸血をやっている最中って寡黙なので、安定していていいけど、どういうことを考えていらっしゃるのかなとか、分からないんですよ。
だけど、行くとおっしゃるのは、「先生はいつまで来てくれるの?あの、私の大腸のほうが落ち着いちゃったら、もう来なくなっちゃうの?」っていうような話をされていて、
「いや、そんなことないけど、血液の病気あるうちはずっと来るけど」って言ったら、「ああ、それは良かった」というふうに言ってもらった時に、医者で良かったなあというふうに思ったのが、なんかこう、やっぱり感謝して頂けたんだね。
自分の存在意義というか、そういうのをすごく感じさせてくれる人でした。
田中ヒロコ:Sさんにとってやっぱり先生は本当に大切な存在ですよね。
松原先生:っていうふうに受け手としては感じましたけどね、そう言ってもらえてね。
田中ヒロコ:それはやっぱりあれじゃないですかね。Sさんに対する先生の向き合い方とか、そういったところを感じ取ってくださった?
松原先生:それがその、そう思ってもらえたのかなと思ったんですけど、ただ普段の輸血しているご様子とかだと寝てらっしゃっているし、あと大体その初対面の時は「こういうスケジュールで輸血やりますよ」みたいな話で緊張されるじゃないですか。
田中ヒロコ:そうですね。その人がどういう感じかが分かんないですよね。
松原先生:とにかく「はいはい」って言われる方の割合多いんですけど、でもそれ以降結構寝てらっしゃることが多いので、なんかそういう感じあんまり受けなかったんですけど、意識がはっきりした時に、そういうふうにおっしゃってくださった時に「嬉しいなあ」というのが正直思いましたよね。
田中ヒロコ:そうですね。しかも普段ちょっと寡黙な方がそうやっておっしゃって頂くって、なんか先生かっこいいですね~。でも先生、いつも本当話を伺っていて、私自身もやっぱり先生みたいな先生に見て頂くと本当にいいなって、このラジオ通してすごく(感じます)。
松原先生:どうも。
田中ヒロコ:ラジオ外でもいつも先生に病気の相談とかね、したりとかしてるので患者さんはなおさら、本当に見ていただいている患者さん、Sさんもそうだと思うんですけど、やっぱり人って会うとその人の温かみとかって多分感じると思うんですよね。
だから言葉とかってあんまり無くても、なんかこうね、処置してくださっているお姿でも多分そういったことを感じとってらっしゃっているんですかね。
松原先生:かもしれないですね。あとは、やっぱりその人と元気になった時の夢をお互い語るのが好き。
田中ヒロコ:そうなんですね。
松原先生:その方はね、人工肛門っていうのが入っていて、まあいずれ取れたらいいねっていう話もしていて、まあそういうのを気にしないで生活できたらいいねみたいな話もしていて、だからそういう日が来ることを夢見て今に至っていると。
ちょっと入院中の様子は僕も知らないのであれですけれども、そういうふうになってくれたらいいなって言われて。
田中ヒロコ:すごい素敵ですね、夢を一緒に持つって。
松原先生:その人も決まった曜日に毎週輸血をやっていたもんですから、この曜日だとあの人どうしているのかなっていうのは、やっぱりいつも思うんですよ。
田中ヒロコ:でもそれって、そっかあ。先生そうですよね。そうやってちゃんと思い出してくださるってことですよね。
松原先生:そうですね。だからこそ「早く戻ってきてね!」っていうのはすごく思っていてね。
田中ヒロコ:1ヶ月経っているってことですもんね。
松原先生:1ヶ月経っていてね。本当にこう、会いたいなあっていうのは思っていますけどね。
田中ヒロコ:Sさんどうですか?
松原先生:Sさんどうかなあ?んー、そうなんだよね。その人に家の方向に向かっている時とかね、思うんだよね。でもね、みんなね、良くなるために入院して戻ってくるつもりだから、それを信じてずっと待っていますけどね。
田中ヒロコ:そうですね。ご近所通って思い出す、その曜日で思い出すっていうのは、松原先生だからですよね、きっとそれって。なんか伴走者って感じですよね、本当に患者さんと一緒に伴走しているというか。
松原先生:でもやっぱり、医者と患者って結局人同士の付き合いだから、やっぱりそれは気になるんではないんですかね。
それは多分在宅関係なしに、どこの医療機関も主治医と患者さんだと、患者さんが入院したらどうなっているのかなって気になるのが当たり前。それは医者心理として当たり前だし、あとは患者さんの立場に立つとそこらへんで多分知らない感覚だと思うんだけど、医者ってそういうものなんですよ。「やばい、どうなっているのかな。」
田中ヒロコ:そうですね。でも、Sさんの言葉で先生、「ああ、医者やっていてよかった」ってすごく思った?
松原先生:思いますね。だから、そういう風に気づきをさせてくれる人っていうのは嬉しいですね。
田中ヒロコ:そうですよね。先生に言うと、患者さん、Sさんにとっても「先生、良くなったら来ないの?」って言うくらいきっと大切な存在でいらっしゃると思うんですけど、逆に先生にとってもやっぱり患者さんってすごい大切な存在ですよね。
松原先生:大切な存在ですよね。自分の心の支えになっていますからね。
田中ヒロコ:そうですよね。患者さんがいるから、先生もこんなにいつも遅くまで頑張って、このラジオの収録も結構いつも夜遅い時間に録っているんですよ、Sさん! 寝る間も惜しんでね。
松原先生:だからね、あの少し入院も長くなっちゃってね、なかなか気持ちも安らがないところもあると思うので、今回は僕からちょっと送りたい曲があるんですけども。
「パッヘルベルのカノン」、それを聴くと落ち着くかなあというふうに思います。
田中ヒロコ:落ち着きます!Sさん、ぜひお聴きください。