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あんどうりすの防災四季だより 24年11月17日(再放送11/24)ゲスト:信州大学工学部建築学科 中谷岳史先生②

りす:本日も先週に引き続き、信州大学工学部建築学科で建築環境工学をご専門にされている、中谷岳史先生にお越しいただいています。
中谷先生2週続けてありがとうございます。よろしくお願いします。

中谷先生:よろしくお願いします。

りす:前回、水害にあってしまった時に、その後の自宅の復旧や手続きなどの対応についてお伺いしました。
手順を知らずに間違ったことをやってしまうと家がカビまみれになってしまういうこともあり得るということです。
大事な手順として、まず知人や友人など知っている人たちにお願いしてお掃除をするメンバーを集める。
そして建築会社に依頼する。
行政で手続きを取る。保険会社に連絡を取り建物や車の手続きを行う。
この大事な5つのことをお聞きした。

今回は水害にあった後のお掃除の方法をお話しいただけますか?

中谷先生にはリモートでお話を伺いました。

 

あんどうりすの防災四季だより

近年、大地震や豪雨水害の発生が相次ぐなか、市民にとっても「防災・減災」は非常に身近な話題となっています。以前と比べ、防災の知識に触れることが増えていますが、わたしたちは覚えた知識をマニュアル化してはいないでしょうか?
この番組では、四季に合わせた「防災・減災」のトピックをあらゆる視点で紹介します。
パーソナリティーを務めるのはアウトドア防災ガイドのあんどうりすさん。
アウトドアで出会ったスキルを楽しくわかりやすく話してくださいます。

アウトドアって大変そう…防災って難しそう…そんなことないんです。
気がついたら防災の知識が身についていた!そんな時間になるはずです。

放送の文字起こしを、記事と同じページに掲載しています。
音声をお聞きいただきながら、文字で情報やデータをご確認ください。

文字情報と合わせてラジオライブラリーもお聞きください。

放送音源

   

文字情報

浸水被害にあった時、知っておくと役に立つ情報

水害被災後の掃除について

中谷先生:まず掃除をするときは「とにかく手伝ってくれる人を探してください」と言っています。
1つの建物で調べてみたところ、1ヶ月で50人~100人ほどの人手が必要だということが事例調査で分かっています。

「ご夫婦で頑張っても到底終わる量ではありませんので、とにかく人を探していきましょう」
 ということを最初に言っております。

りす:はい、ではどのように掃除をすればいいのでしょうか?

中谷先生:まず、家の中のものを右、左に動かしても綺麗になりませんので、家の中のものを一旦すべて外に出す必要があります。
その時に、「絶対に捨てるもの」、もうぐちゃぐちゃになってしまった畳などは道路際に置き、「まだこれ捨てるかどうかわからないな」そういったものは道路から離れたところに置くというように、2か所に分けて置くということをアドバイスしております。

その後本格的に掃除をしていきますが、掃除のやり方が合っているかどうかによって、その後の復旧にかかる期間・金額が大きく変わってきます。
雑巾で水拭きをしても泥が伸びてしまうだけですので、1日経つとまた浮かび上がってきてしまいます。
それを3~4日と繰り返していくことになります。
現在私どもが推奨しているのは、洗濯洗剤、アタックなどいろいろあると思いますが、洗濯洗剤をバケツに入れて水で溶いてバシャッと撒く、そして緩やかに擦ってあげます。
どうしても災害時は興奮してますので、ゴシゴシと力を込めてやってしまうのですがフローリングに傷がついてしまいます。
ブラシでゆっくり柔らかく擦ってあげると良いです。
また、ホームセンターなどで売っている大きなスポンジを使用するといいです。
台所用のものだと少し小さいので、大きめのものをオススメします。
斜めに三角形の形にカッターで切ると、大きくも使えますし細かいところに対しても使えるということで、そういったもので端っこの方とかを洗い流し、最後に水を床全面にかけて、水切りモップで押し流します。ポイントはとにかく雑巾拭きはしないで水で押し流すことを心がけていただけると2倍から3倍ぐらい、復旧が速くなります。

りす:どうしてもゴシゴシしてしまいそうな気がしますよね。
水切りワイパーなどもあるのでそんなものを使うといいのですね。
水害現場の様子を見ていると、よく床を剥がしているところを見るのですが、あれはしないと先生からお聞きしましたが。それはなぜですか?

中谷先生:もちろんいろいろな状況がありますが、私がよく助言するのは床をそのままにするということです。
しかし床下はある意味外なので、床下を乾燥させることを主目的にしています。
床板をそのままにして、ダクトファンや工業用のちょっと強い送風機が1万円から2万円ほどで販売されています。
こういったものを、床下点検口や和室の板を少し外すなどし、床下50センチほど開けて、そういったダクトファンを土間や地面にポンと置いて、外から室内、室内から床下と、空気をかき混ぜて外に湿気を出す。
このような換気経路を作って床下を乾燥させるということを助言しております。

りす:2ヶ月ぐらい乾燥させる必要があるとお聞きしましたが、かなり長い間ずっとタクトファンをつけ続ける必要があるのですね。

中谷先生:はい、湿っているといっても、水害時は水にさっと濡れるわけではなく、例えば50センチから1メートルの水圧がかかりながら木材が濡れますので、完全に乾くまでにはかなり時間がかかります。
すぐ外に見えるような柱の材料よりも、もっと大事なのは基礎があってその上に土台があります。
土台や柱、合板、金物など建物の重要なところが基礎際にありまして、そこを乾かすためにも一早く床下乾燥を行うということが重要になってきます。

りす:はい、その時サーキュレーターや家庭用の扇風機では代用できないということなんですね。
中谷先生:そうですね、今実験と解析を進めているところではあります。
サーサキュレーターでできたらいいなと思うのですが、やはり空気を直進させる力が弱くて、押せなくてすぐ横で回ってしまうという結果が出てきています。

りす:ダクトファンなんて家庭では滅多に使わないけども、あればドライフードを作るのに使えますよね。あと内装解体を行う必要があり、それにも手順があるということなのですが、個人で内装解体って全く想像がつかないので、どうすればいいか教えていただけますか。

中谷先生:はい、水害の後は家の中だけじゃなくて壁も濡れてしまいます。壁の大事な材料、また中にある断熱材なども濡れてしまいます。
そして、その水分によってカビが生えてきます。「よく表面を拭いているのに、どんどんカビが生えてくるのよ。」そういった声もお聞きします。
室内は生活空間ですので、濡れたものを物理的に除去して乾燥させて消毒する、このプロセスが重要です。

りす:除去するというのはどう除去するんですか?

中谷先生:構造体すべてを取るというわけではなく、室内から見てまず壁紙やクロスを剥がします。すると厚さ約1cmの石膏のボードが出てきます。
こちらを取ると次に断熱材が現れます。
その断熱材を取るところまでが内装解体といい、これを除去していきます。
こちらの作業におよそ15~20人の人員が必要となります。
災害時は大工さんや公務店さん、建築会社さんがものすごく忙しくなりますので、私としては作業分担をする必要があると考えています。
普通にできるところまでを住民さんや素人の方でやります。
一方、例えば備え付けのカップボードや造作家具など、こういったものは建築技術がなければ撤去できないので、プロにお任せします。
このように作業分担をする必要があるので、水害時は素人の方が壁を内装解体することが大事です。

りす:なるほど。ちなみに先生はこの内装解体の方法について、ダウンロードして閲覧できるファイルも公開されているので、是非リスナーの皆さんにも見ていただきたいのですが、なにかポイントなどありますか?

中谷先生:そうですね。素人の方でも、危険に晒されずに内装解体ができる手順を、イラストレーターさんと漫画形式で作成しましたので、そちらを見ていただければできるかなと思います。

※ダウンロードはこちら
WEB逕ィ_EBARA_manual_digest_0926

りす:自分でできるということなら、がんばってみたいと思いますが、やはり気になるのはカビが生えないようにしたいという事なのですが、消毒方法など教えていただけますか?

中谷先生:そうですね。まず、壁の中にはたくさんカビが生えています。
なので、まずは乾燥させることが大事です
ただ壁の中は室内空間ではありませんので、そこまで神経質になることはないかなと思ってます。
一方、もし消毒するときに、どのような消毒剤を使えばいいのかという事をよく聞かれます。
手順としてはまずは水洗いをして、スポンジで拭き取ります。
消毒剤に関していえば、よく次亜塩素酸ナトリウムや、漂泊剤のハイター、オスバン塩化ベンザルコニウム液、こういった「オスバン」と「ハイター」みたいな商品名の消毒剤がよく被災地では使われます。
ただこういった漂白剤等は錆びてしまいます。
錆びてしまいますが、殺菌能力は強力ですので、木材に使うように助言しています。
壁の方は、透出防水シートという雨が室内に入ってこないようにする防水シートが入っているのですが、こちらにオスバン塩化ベンザルコニウム液を使用すると防水能力が低下するということが分かっていますので、そういった透湿防水シートは水拭きだけということでお願いしております。

りす:なるほど。他にも使える薬剤などはありますか?

中谷先生:はい。同じく洗剤を使うと、その透湿防水シートの能力が低下してしまいますので、壁を解体したときに出てくる白いシートは水拭きだけで留めることをお勧めしています。
その後、やはりカビが生えてきますので、海外のマニュアルや文献を見てみると、ホウ酸処理というのが有効とされていますので、内装解体の後はホウ酸で最後仕上げることをお伝えしております。
ホウ酸は、カビがもう一度増えてくることを防ぐ、防カビの機能があり、無機物の化学物質です。
殺虫剤のように人に害もありませんので安心して使えるかなと思います。

りす:はい、防カビとともに白アリ対策にもなりますよね。

中谷先生:はい、その通りです。

りす:中谷先生ありがとうございます。
床を剥がすよりも、壁を早く剥がして、断熱剤が吸っている水を乾燥させるという事ですね。
先生のホームページでも今日ご紹介した情報はや対応の手順を詳しくご紹介していますのでそちらもぜひご覧ください。
そして、万が一水害にあってしまった時は、中谷先生って人がいたかもと思い出して、その情報にたどりついていただいただければというふうに思っています。

本日は信州大学工学部建築学科、中谷岳史先生にお越しいただいてお話をお聞きしました。
中谷先生ありがとうございました。

中谷先生:ありがとうございました。

※2024年9月の水害時に緊急で情報提供した際まとめた対策ブログも参考にしてください。
https://842fm.com/news/58271/


あんどうりすの防災・減災 りす便り
https://andorisu.jimdofree.com/

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