まつばらホームクリニック『ラジオ在宅NOW』!
この番組は、保谷駅から徒歩三分の場所に位置する、まつばらホームクリニックの松原清二院長に、日頃医療の現場で感じていらっしゃることをお話頂き、皆様にも在宅医療に対しての理解をより深めて頂ければと思います。
第一週と第三週に本放送、その他の週は再放送をお送りします!
【8月のテーマ】
『腹水について』
皆様是非お聴きください!!
西東京市を中心に患者さんの自宅に行き、診察をしている在宅医療専門診療所「まつばらホームクリニック」のホームーページはこちら→https://m-hc.jp/
↓放送内容を文字でもお読みいただけます!
田中ヒロコ:松原先生、本日もどうぞよろしくお願いいたします
松原先生:よろしくお願いします
田中ヒロコ:先生、今日はどんなお話、お伺いできますか?
松原先生:最近クリニックでですね、「腹水」お腹の水が溜まってきちゃった人に対して、1回その水を抜いて、それをもう一回濃縮還流するようなことをやってるんですけど。そういったことについてお話したいなというふうに思います。そもそも腹水ってお腹に溜まるものじゃないんですよ。
例えば皆さん、肥満とかは別ですけども、普通はお腹がそんなにボンと出てるわけじゃなくて・・・。
田中ヒロコ:最近出てきました。脂肪・・・ですかね?
松原先生:ちょっと言いづらいですけどね(笑)。
田中ヒロコ:運動します。
松原先生:女優さんなんでね、ちょっと本業がね、、、気を付けてください。
田中ヒロコ:わかりました。
松原先生:通常はお腹の中にはね、大体20~30ml ぐらい水が溜まってるっていうふうに言われてます。資料にもあるんですけど、腹膜って言って、お腹の中の臓器の摩擦を少なくするための膜があるんですけれども、その膜がこういった空間を作ってるんですね。この空間の中に、さっき言った水が大体溜まってるんですが、これがものすごく溜まってしまうというような状態が、いわゆる腹水が溜まっているというような状態になります。
田中ヒロコ:私達もこのお腹の中に、ちゃんと水はあるってことですかね?
松原先生:水はありますね。大体生理的な範囲っていうのが、20~30、 20~50 ml ぐらいというふうに言われています。ところが何かしらの原因、例えばがん細胞が腹膜というところに、バァ~っと散らばった場合、その結果、腹水がバァ~っと増えてきてしまうとか、そういうようなことがあったりとか、あとは肝臓が悪くて、お腹がパンパンに蛙腹みたいになってしまうようなこともあります。
田中ヒロコ:腹水は、何かどんな役割をしてるんですかね?
松原先生:基本的にはですね、潤滑剤っていうふうに思ってもらえればいいと思うんですけど、ただどうして溜まっちゃうのかっていうのが結構重要で、理由としては2つあって、腹水って漏れ出てくる漏出性っていうのと、あと炎症性で出てくる心室性っていうもの。この2つに分かれます。
漏出性っていうのは何かっていうと、通常ですね、血管があってその中にアルブミンというものが体の内部にあります。このアルブミンっていうのは、肝臓で合成されます。これが多い少ないで栄養状態を見る指標になってきたりします。
このアルブミンが少ないと、水分がどんどんどんどん外に出ていっちゃったり、アルブミンがたくさんあると血管の中に保持されるようになります。
例えば肝臓っていうのはアルブミンを作る臓器ですから、これがなくなるということは、必然的に血管の中のアルブミンも減ってきて、血管の外に水分がバァ~っと出ていく。つまり肝硬変、肝臓の末期状態の方の場合はアルブミンが合成されなくなってくるので、水分が外に行ってしまうと。結果お腹の中でも同じようなことが発生してきて、足がむくむとかそういったことだけじゃなくて、お腹もパンパンに貼ってきてしまうというようなことがあります。。
あとはですね先ほどお話したがんの場合とか、例えば腹膜とかに炎症があるような場合、そういった場合はですね、血管の中から血液成分とか水の水分がいわゆる染み出しやすくなる。例えば怪我したときにジュクジュクするじゃん。そういったのと同じような理屈で、外にジュクジュク染み出ていってしまうというようなことがあります。ということで成因としては、その2つがあります。
田中ヒロコ:それはお腹の中に溜まって、体全体に至るところに溜まるんですか?
松原先生:なるほど!もちろんお腹全体に溜まってくる。例えば、肝硬変の場合とかは、アルブミンそのものは減ってくるわけですから、要は血管って全身にありますよね。そうすると足の方の血管の中で、アルブミンが少なければ、足がむくんでくるだろうし、あとは心臓に行くまでの血管で、アルブミンが少なければ、肺の方にも水が溜まってくるっていうのは。必然的にあるという。
田中ヒロコ:そうなんですね。
松原先生:お腹の水が溜まってきちゃうと、何が不具合なんだっていうことなんですけど。ヒロコさん、ご妊娠してご出産されてますよね。
田中ヒロコ:はい。
松原先生:そうすると、例えば出産直前なんかは、赤ちゃんが3キロぐらい中にドンといて、そうすると、あのときを思い出せますか?
田中ヒロコ:思い出せます(笑)
松原先生:そうするそと歩いてて、やっぱりちょっとしたことで息切れしやすかったりすると思うし、場合によって、ちょっと足がむくみやすいっていうことはありませんでした?
田中ヒロコ:足は結構むくんでますよね。
松原先生:結局赤ちゃんがいることによって、静脈を圧迫したりすると、戻りづらくなったりするような事象も出てくるし、あと赤ちゃんがいることによって、横隔膜を押し上げられて、そうすると息を吸っても吸い切れないっていうような事象が出てくるから、息苦しくなってきたりもする。
田中ヒロコ:確かにそうですね。ここまで胃のところも圧迫されて、ちょっと苦しい。
松原先生:そうですよね。あとは一番症状として分かりやすいのは、お腹に3キロぐらいあるわけです。腹水の場合ね、あるわけだから、結構張ってきちゃう。それを赤ちゃんで想定すると、やっぱり「パンパンなの私」って言いますよねなので、そういうようなことが、それとご懐妊のときと非常に近しい状況が復水が過剰に貯留している場合は、出てくるということですね
田中ヒロコ:プラスご病気があって、その3キロを抱えるってなると、かなり体はしんどいですよね。
松原先生:しんどいですね。一応治療としてはどういう治療があるかってことなんですが、溜まってるものが染み出しでの水、もしくはアルブミンが少なくても、水分いずれにしても水なのでそういったときには利尿剤といってお小水を出すようなお薬を使用して出していくということで腹水の改善を図るということです。
田中ヒロコ:じゃあ、尿で出すっていうことなんですね。
松原先生:尿で出します。ただ、実際どれくらい改善するのっていうことになるんですけれども、著しく利尿剤で改善するケースっていうのは、そこまでは僕経験がないかなというふうに思っていて、中にはいらっしゃいますけれども、割合としては少ないかなという印象があります。
田中ヒロコ:そうなんですね。それはここに溜まっていてもいいものなんですか?
松原先生:基本的にはさっきお話したように、僕ら医者っていうのは役目って何かっていうことなんですけど、日常生活に不具合が生じてきたりするのを解決する。身体的な面でね。なので、それは良くないというふうに判断してます。
ほっとけばいいじゃないっていう話にはならない。何でかって言うと、例えばご懐妊の場合はね、出産してしまえば、それで全てが OK なんだけど、腹水の場合はちょっとそういうわけにはいかないというところなんですね。
田中ヒロコ:結局それって何か方法で出したとしても、また溜まってきちゃう?
松原先生:もちろん水分が溜まりやすいと、腹水が溜まりやすいとか、いろいろあるのは、例えば血管の中に、普段の食事が塩分が多かったりすれば、実はナトリウムっていうのも血管の中にある程度水分を溜め込むものですから、塩分を少なくしちゃえば、塩分が多いと血管の中に水分がワーッて増えてきちゃうんで、そうすると結果的にはその露出していく水分も増えていってしまうっていうことんなるんですよね。だから、よく腹水のある人とか心臓悪い人とか、むくんでる人は塩分控えてくださいっていうのはそういう理屈なんですよね。ですから日頃の生活で塩分を控えるとか、あと利尿剤をちょっと飲むとか、あと日頃の水分制限をしてご生活されるっていうのがいわゆる内科的な治療になってくると思います。
田中ヒロコ:なんかいろいろと先生、勉強になりました。
松原先生:そうですか。
田中ヒロコ:なんか腹水に関してそんなに知ることってなかったので。塩分との関わりとか。
松原先生:どうです?日ごろヒロコさん、腹水はないにしても、足とかパンパンになってくることありません?
田中ヒロコ:本当にパンパンになります。夕方、夜結構パンパンになりますね。
松原先生:女性多いんですよね。味濃いのは好きです?
田中ヒロコ:そうでもないです。サラダとかも何もかけないで食べます。
松原先生:そうですか。じゃあヒロコさんあんまり関係ないかな。なんか味濃いのは好きだって言われれば、ちょっと控えて様子見てみましょうって話になるんですけど。
田中ヒロコ:控えてるのに血圧も高いし、なんでだろうって思うんですよね。
松原先生:それはご家族とかあれですか?血圧・・・。
田中ヒロコ:そうですね。両親両方とも血圧の薬飲んでる。
松原先生:それ家系ですね、はい。
田中ヒロコ:そっか(笑)わかりました。先生本当にどうも、わかりましたけど、ありがとうございます。