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骨粗鬆症について④ 2024年6月15日・22日・29日(土)放送分

まつばらホームクリニック

まつばらホームクリニック『ラジオ在宅NOW』!

この番組は、保谷駅から徒歩三分の場所に位置する、まつばらホームクリニックの松原清二院長に、日頃医療の現場で感じていらっしゃることをお話頂き、皆様にも在宅医療に対しての理解をより深めて頂ければと思います。

第一週と第三週に本放送、その他の週は再放送をお送りします!

【7月のテーマ】
『骨粗鬆症について』


皆様是非お聴きください!!

西東京市を中心に患者さんの自宅に行き、診察をしている在宅医療専門診療所「まつばらホームクリニック」のホームーページはこちら→https://m-hc.jp/

↓放送内容を文字でもお読みいただけます!

田中ヒロコ:今回も、「こつそしょうしょう」についてですね。よろしくお願いいたします。

松原先生:はい、よろしくお願いいたします。(笑)ついつい笑ってしまう、自分がいるんだけど(笑い)。

田中ヒロコ:すいません。

松原先生:今回は骨粗鬆症について、いろいろ話したんですけど、実際問題、骨粗鬆症の検診とかどれくらい行くのとか、そういうオプションがあってもほとんど行かないだろうとか、そういう話がありましたよね。

田中ヒロコ:健康診断でやっぱ、どうしても省いちゃう。まだいいかなっていうところはあるんですよね。

松原先生:僕もその感覚って正しいかなと思っていて、結局日本人の2人に一人は癌になるし、それ以外にも心筋梗塞になるリスクもあれば、脳梗塞になるリスクもある。結局リスクだらけになっちゃうと、どの情報を拾い上げていけばいいかということが問題になってくるから。

だから、この前ちょっとお話ししたように、例えば最近身長が1年間で2cm減ったとか、転びやすいとか、あとはご家族の中で、大腿骨頸部骨折を起こしているような人がいるとか、そういうような方がいて、かつ、閉経を迎えたような女性の方とかは、骨粗鬆症の検診を受けた方がいいと思います。

田中ヒロコ:あ、そういうね、要素があったらってことですね。やっぱり日頃からそういうところがインプットされてないとってことですね。

松原先生:そうですね。骨粗鬆症って、推定患者数は1280万人と言われていて、いわゆるその日本人で10人に1人はいるんじゃないかな。

田中ヒロコ:結構多いですよね。

松原先生:そのうち治療を受けているのは200万人。つまり1000万人は治療を受けていないということです。
かく言う僕も、よく足をひねりやすいんですよ。今日も雨降っていて足ひねりかけたんですけど・・・。

田中ヒロコ:足首ですか?

松原先生:そう、足首。僕なんかもいい年だし、本当は骨粗鬆症の検診とかを受けた方がいいんでしょうね。

田中ヒロコ:え!先生、受けてないんですか?

松原先生:(笑)僕は受けてないです。

田中ヒロコ:ちょっとびっくりなんですけど先生。これ4回にわたって骨粗鬆症の話してましたよね(笑)

松原先生:だから、結構典型的なんですけど。

田中ヒロコ:先生、好き。そういうところ。なんか人間らしくて、なんか安心できました。「僕はバッチリやってますね」とか言われるかと思ったら「僕はやってないです」って(笑)

松原先生:そこが典型的で。結局ね自分の病気としてまだ理解してないんだよね。

田中ヒロコ:まだ若いんですもんね、先生。

松原先生:一応リスクとかいろいろ考えるじゃないですか。呼吸器疾患があるかとか、家族に大腿骨頸部骨折がいるか、身長縮まっていないかとか、あとステロイドの・・・・いろいろあるじゃないですか。で、僕は女性じゃないし。

田中ヒロコ:そうですね、確かに。違いますね。

松原先生:そう考えると、リスクは低いかなぁっていうふうに思うんですよね。

田中ヒロコ:でもね。男性もいないわけじゃないんですよね。うちの父も絶対、こつ、そしょう、そしょう、そしょうしょうですね。(笑)

松原先生:僕もつられて、舌が回らなくなっちゃったよ(笑)

田中ヒロコ:たぶん父も絶対そうだったし、やっぱり高齢になれば、男性も確率的には高くなる。

松原先生:もちろん高くなる。やっぱり50歳以降って、この前出したグラフで、60以降でバーっと増えるから。まあ、そんなこと言うんだったら、僕も受けなきゃいけない(笑)

田中ヒロコ:そうですか?そうですね。そっからは、男女差っていうのはやっぱりないんですかね?

松原先生:男女差は・・・でも女性の方が多いと思うんだけどね。理屈的に言うとね。やっぱりその女性ホルモンの枯渇っていうのが根本にあるからね。

田中ヒロコ:そもそもの骨も女性の方が細そうですよね?それは関係ないんですか?
骨格見ると、やっぱり女性の方が華奢だし、少ないのかな?骨密度とかって思うんですけど・・・。

松原先生:それはあるかもしれないね。あとは筋肉量が少ないとかね。
だから痩せてきちゃうと、結局、ふらつきとか転倒とかもしやすくなるとか、そういうのもあるかもしれないね。
今、散々その検診の話とかもしたんですけど。

田中ヒロコ:はい、先生はしてないけどね。

松原先生:そう、してない(笑)。ところがですね、例えば骨を折って苦労をされた人いるじゃないですか、例えば大腿骨頸部骨折・椎体骨折した人っていうのは、結局ですね。骨粗鬆症の治療を受けたっていうのは約2割ぐらいしかいない。

田中ヒロコ:そうなんですね。結構もっといらっしゃるのかなと思った。

松原先生:そうなんですよね。いかに、骨粗鬆症治療が世の中に浸透していないのか!と。

田中ヒロコ:あ~。「骨密度大切だよ」というのは、よくメディアで聞いたり見たりしてますけど、確かに身近じゃないという感じです。

松原先生:身近じゃないですよね。あとイメージしやすいのが、高血圧で、血圧高いとなんかやばいなあ~ってイメージ沸くじゃないですか。血圧200って言ったら倒れちゃいそうとか、そういうイメージ間違いなく沸きますよね。
実際、頭痛もしやすかったり、生命の危機に感じる。でも、じゃあ骨粗鬆症のお薬を飲まないことに、生命の危機を感じるかって言うと、たぶん感じないですよね。

田中ヒロコ:あっ!そういうことか!

松原先生:やっぱりそれがあるんじゃないかなぁ?というふうに。

田中ヒロコ:でも先生がおっしゃってたのは、それは死につながるんだよってことですよね?やっぱり転倒とかって。

松原先生:そうです。ですから重要なのって、地域とかがその人を転倒しやすいとか、骨折しやすいとか、あの人危ないよとか、骨粗鬆症に対して検査・治療っていうのは進めるべきなんじゃないかなというふうに思います。

田中ヒロコ:そうですね。本当ですね。気軽にね、ちょっと測ってみようかなっていうような、あと身近に感じるっていうのがやっぱ重要ってことですよね?松原先生:そうですね。今、10%ぐらい言われてるんですよ、検診率が。だから凄い低いんですよね。

田中ヒロコ:私、先生にやってもらったって、貴重ですよね。

松原先生:僕はまだ測ったことないけど・・・(笑)

田中ヒロコ:まさかの・・・まさかの、先生!!(笑)あの時、一緒に測ればよかったですね。

松原先生:そうですね。じゃあ今度一緒に測りましょう。

田中ヒロコ:そうですよ!本当ですよ!!せっかく器具お持ちでいらっしゃるんだから。

松原先生:ショックだな~。その時に僕が低かったらちょっとこう・・・凹むかもしれない(笑)

田中ヒロコ:その時は、注射しましょう。

松原先生:それでね、骨粗鬆症が、今話したように、全般的に関心の低い疾患であることは間違いないんですよ。骨折起こしてしまったら大変だということはそうなんですけど、それで最近言われているのが、初めイギリスなんかで考えられた概念なんですけども、FLSっていうフラクチュアリエゾンサービスって言って、簡単に言うと、病院なんかで大腿骨頸部骨折を起こしました。それから今度はリハビリ施設に行きます。リハビリ施設に行ったら、今度は診療所の方にかかりますか・・・大体こういう流れになるときに、骨粗鬆症の情報って漏れやすいんですよ。今言ったように、みんな希薄だから。
別に日本だけじゃなくて、世界中に結構起こってる事象なんですよ。そこら辺を変えようっていうのが、イギリスで始められた概念で、骨折リエゾンサービスっていうのが起こったんです。

リエゾンっていうのは何かっていうと、受け子というか、引き継ぎ役みたいな形で、この人、骨粗鬆症ありますよっていうのを、例えば病院から、リハビリ病院の骨粗鬆症の担当の人に全情報を流す。で、全情報を流したらリエゾンサービスの担当者が主治医になるので、主治医が治療をする。で、またそこを退院することになったら、診療所の方の担当の人にこのリハビリ施設の方から情報を流すような形をして、必ず骨粗鬆症ネットワークを作っていくっていうような形をしているんですよ。これをすることによって、大腿骨頸部骨折とか再発リスクとかそういうのが著しく下がったというのが言われているんですね。それを日本でもやってみようというようなことで考えられたのが、オステオ・ポローシス・リエゾンサービスといって、これはもうちょっと広い意味になるんですけど、骨折だけじゃなくて、骨粗鬆症の人とか、高齢者一般の人に対しても、やっていきましょうと言われています。

これは進めてはいるんですけど、実はこの北多摩地域って、リエゾンサービスってあまり普及してないですよね。これはなんでかってことなんですけど、結局骨粗鬆症のために人を集めて会議しますか?とかなっちゃうと実際問題できないだろうっていうのを、前に講演会やった時の、整形外科の先生と喋ってたら、現実それ無理だよね。やっぱり人を集めるコストとか手間とかを考えると、それはもう現実できない。
できないから、じゃあどうするかということになると、やっぱりその地域の人、患者さん自身が骨粗鬆症を一緒に興味を持ってもらうことが必要なのと、やっぱり主治医が頑張らなきゃダメだよねっていうような形なんですよね。だから、主治医が頑張るっていうのは、実はこのリレゾンサービスの概念にはあんまり十分じゃなくて、やっぱり、周りが変わっていかないといけないし、一番いいのは、患者さんの紹介とか「この人、骨粗鬆症どうなってますか?」って言い出すような人がいないと、ちょっと難しいと言うことです。

田中ヒロコ:そうですね、広めましょう。

松原先生:結局ね、たとえば心不全があったり、心臓の病気があったり、肺の疾患があったりという中で、骨粗鬆症に関して一生懸命やるって人は、確かに僕も一人も見たことがない。だけど、僕ちょっと整形外科の先生と懇親会の時に喋ってたんだけど、僕なんか思っているのは、心不全とかで心臓が良くなるじゃないですか。そのままで問題になるのが転倒なんですよ。転倒だからこそ骨折の予防が必要なんですよ。「いいこと言ってますね~」とか言って(笑)
そういうような感じで骨にも転倒が心配なのは、みんな同じなんだから、それだったら骨粗鬆症に対して、もっと注意を持つべきなんじゃないかっていうのが根本的な概念ですね。

田中ヒロコ:それはやっぱり在宅診療・在宅医療でトータル的に先生が見ているから、そういう多岐に渡った視野で見れるっていうことですよね?

松原先生:それはやっぱり専門っていうのだけじゃないのをやってるっていうのは、僕の持ち味かもしれないね。

田中ヒロコ:そうですよね。通院とかしてるとそこの専門の病気のことしか伝えられなくて、先生だったら多分そういうところをもうちょっと踏み込んで、何かアドバイスしてくださるのかなーっていうのをすごい感じました。

松原先生:ちゃんと患者さんと運動しますよ、僕。(笑)

田中ヒロコ:本当ですよね。

松原先生:往診の後半、ちょっと股関節痛かったです。

田中ヒロコ:そうです。運動ね。
先生も絶対測ってくださいね、今度、骨密度。ぜひ、お願い致します。本日もありがとうございました、。