まつばらホームクリニック『ラジオ在宅NOW』!
この番組は、保谷駅から徒歩三分の場所に位置する、まつばらホームクリニックの松原清二院長に、日頃医療の現場で感じていらっしゃることをお話頂き、皆様にも在宅医療に対しての理解をより深めて頂ければと思います。
第一週と第三週に本放送、その他の週は再放送をお送りします!
【3月のテーマ】
『病診連携について』
皆様是非お聴きください!!
西東京市を中心に患者さんの自宅に行き、診察をしている在宅医療専門診療所「まつばらホームクリニック」のホームーページはこちら→https://m-hc.jp/
↓放送内容を文字起こしした内容はこちら!↓
田中ヒロコ:本日もよろしくお願いいたします。
今回も前回お話を伺った病診連携についてお話を伺います。
松原先生:はい、病診連携で前回お話しした内容として、要はその病院で話した内容がそのまま伝わってくれればいいんだけども、人の心とか感情を扱っている以上、思った通りの方針にならないこともあるよね。って話をしたと思います。
具体例で言うと、例えば肺がんの人。
ある程度生活の質は保てていて、家のことは出来る。
ただ、もう肺がん治療としてはやれることがほぼないというような方でした。
あとは家で安らかに過ごしてくださいね。っていうようなケースも、やっぱりあったりもするんです。
そういったかたちでお家の方に引き継いでいたんですけど、ある日突然その方のお腹がパンと腫れ上がっちゃって診てみたところ、どうもこれは腸が全く動いていない。腸が動かず食べ物とか飲み物が動かないと腸閉塞っていう状態になっちゃうことがあるんですね。
原因として予想されるのは電解質の異常とか、あとは腫瘍とか。
そういった原因で閉塞になったりすることもあるんです。
いずれにせよ、あまりにも患者さん苦しがってるので、ちょっと家で見るよりは病院の方に送った方がいいかなと思って搬送したんですよね。
ところがしばらくして周囲から聞いた話だと「なんで末期の患者さんで病院に送ってくるんだろう」っていう話になっていたんですよね。
お家でそのまま安らかに最後を迎えるって話だったのにそういいた処置をするっていうことはどういうことなんだろう?っていう話をされたことがありまして、言われたのは 10 年ぐらい前なんですが、ずっと今も考えてるんですよ。
そういった時の主治医ってある程度調べて原因が分かったならば、それに応じて鼻から管を入れる鼻管っていうのを入れたり、腸の動きが悪ければ腸の動きを良くするようなお薬を使ったりとかそういう方法があるんですけども原因がよくわかんないとね。
調べる必要性もあるし、そういった管入れるんだったら入院させる必要性もあるものですから、そういった話はいまだにちょっと理解できなくて、末期の癌の方をなんで送ってくるのか?っていうのはどういうことなのか。
患者さんの症状を考えると、例えばその沈静をかけるにしても、タイミングを考えてもある程度日常生活の質が高い人だと難しいことだし、自分の中でずっと理解できなくて本当に悩んでたんです。
自分の中であの時思ったのは、いわゆるエンドステージって言われるような状況の人って、病院に送っちゃいけないのかなという疑問ですね。
田中ヒロコ:でも先生の話を伺うと、ちゃんと細かい検査をして、先生がよくおっしゃってるような生活の質が低くなるという部分に対するケア。本人も苦しそうだし、っておっしゃってたので。私たち素人が考えると先生の対応ってありがたいなって思うんですが・・・それが違ってたりするんでしょうか?
松原先生:それからなんですよね、自分で心がけるようになったのは。
それだったら家で検査できるものをめちゃくちゃ増やそう、と。
田中ヒロコ:そういう事だったんですね!
松原先生:家でできる処置をめちゃくちゃ増やそうと、そうすれば、自分も悩まないし、患者さんも不安にならないし、苦しむこともだいぶ減るかなというふうに思って。それからめちゃくちゃ頑張るようになったんですよね。
田中ヒロコ:以前見せていただいたんですが、いろいろな器具だったり、レントゲンが撮れるよう取れるようになったよ。とかそういうのも。
松原先生:その延長ですよね。
そこで何を話ししたいかってことなんですけど、病院の主治医の先生の考え方と、在宅の主治医の先生っていうのはやっぱり考え方に差異が出てきちゃう。
本当はその統一見解があって、一つのベクトルで進むのが望ましいんだけど、そうじゃないっていう場合はやっぱり難しいなというふうに正直思うんですよね。
そういうことから最近心がけてるのが、例えば患者さんを紹介されました。
で、しばらく落ち着いてますって言ったらだいたいお手紙送るようにしてるし、経過を書いたのね。亡くなったともお手紙や書くようにしてて、自分の考え方を理解してもらうというふうには努力はしてるんですよね?
ただやっぱり手紙って一方通行なので、お互い知識とか考えを共有することが難しいのも事実なんですよ。もうちょっと交流とかそういうのができないかなっていうふうには思ったりはしてたんですよね。
田中ヒロコ:病診連携で病院に紹介された患者さんについて、松原先生は手紙を出してらっしゃる。でもそれって連携したらその後って特にはないんでしょうか?
松原先生:外来とか通院されるということであれば連携はありますね。
ただ、病院では緩和医療はもうこれ以上しません。あとは在宅でよろしく。という時には基本的にお手紙を書くことはないんですけど、それでも自分の昔の疑問というかそういうところがあるので、やっぱり自分を理解してもらいたいというところも僕もあって、お手紙とかは書くようにしてますね。
病院の役割の違いとかもあると思うんですよ。例えば前回話した急性期病院での役割や外科治療や抗がん剤治療等、集中的な医療をやってそこから外れた場合、もう急性期から外れて在宅よろしくねってなると思うんです。
田中ヒロコ:急性期病院の場合、やっぱり出てください。出てくださいっていうのをすごく患者としても感じるのでそうなんだろうなっていう感じはするんです。
でもそれは先生だけじゃなく私も聞いて疑問に思った部分ではあるんですよね。
在宅医療からその病院に送る、っていうのは何故送っちゃいけないんだろう。
松原先生:結構ね思うんですよね。
だからその人にもよるかもしれないんだけど、いまだにそれは疑問があったから、もう家でとにかく頑張るという。
田中ヒロコ:それは患者としたらすごくありがたいと思うんですよ。
末期とかじゃなくても手術が終わってしまったら、もうさようならっていう感じなので、その後の何かを見ますよって最近の病院だとないと思うんですよね。
手術終わりました。部分取りました。それ以外にホルモン治療するんだったら他の病院行ってください。クリニックに行ってください。っていうのが多分今の感じなので「え?ずっと見てくれないんですか?」って私も家族の病気で思ったりしました。
松原先生:そこが結構難しくてね。
”見放された感”が出てきちゃうじゃない。
もちろん役割が違うからある程度スパッとやっていかないといけないところはあるんだけど。”患者やその家族側の理解”と”医療者側の理解”そして”感情”。
そこが重要なんじゃないかなっていうふうに思います。
杓子定規にこうスパスパスパっていう風に切れたらいいんだけど、なかなかね。難しいところがあるよね。
田中ヒロコ:紹介されてこうやってなんか色々考えてくださる。
そういう先生に出会えたらやっぱり患者側としたら、なんかすごいありがたいだろうなってすごい感じました。
松原先生:そう言ってもらえるといいですね。
田中ヒロコ:先生らしいですよ。
今日もお話をいただいて本当にありがたい気持ちになりました。