まつばらホームクリニック『ラジオ在宅NOW』!
この番組は、保谷駅から徒歩3分の場所に位置する、まつばらホームクリニックの松原清二院長に、日頃医療の現場で感じていらっしゃることをお話頂き、皆さまにも在宅医療に対しての理解をより深めて頂ければと思います。
第1週と第3週に本放送を、その他の週は再放送をお送りします!
【7月のテーマ】
『フレイル予防における食生活について』
皆様ぜひお聴きください!!
西東京市を中心に患者さんの自宅に行き、診察をしている在宅医療専門診療所「まつばらホームクリニック」のホームページはこちら→https://m-hc.jp/
↓放送内容を文字でもお読みいただけます!
田中ヒロコ:松原先生、本日もどうぞよろしくお願いいたします。
松原先生:よろしくお願いします。今回は、長寿の人たちを参考にどういった食事をしたら自分たちが長生きして、生き生きとしていけるかという話をします。前回も似たような話したんですけど。
田中ヒロコ:食事大切ってことですよね。
松原先生:ただ具体的に、例えばどういったものを食べると長寿につながっているかというような話をします。実はですね、古い話になるんですけど、沖縄県の食事って長寿に関係するというふうに言われています。
田中ヒロコ:でも、昔から沖縄の人は長生きって聞いたことありますよね。
松原先生:そうですよね。僕も沖縄料理めちゃくちゃ好きで。
田中ヒロコ:気候とかじゃなくて、料理ってことなんですかね?
松原先生:昔は暑かったからなぁ。沖縄県ってですね、1990年代の日本、一般的な日本人の10万人あたりの死亡率っていうのが大体男性が747.9で沖縄県の方は691.5。少なかったんですよね。具体的に肉とかあと豆とか緑黄色野菜、塩という観点で見てみると、平均的な日本人の場合、肉は大体74.1g。沖縄の人は86.5g。やっぱり肉を多めにとってたんですね。豆に関しても平均的な日本人の場合70.7g。沖縄は90.5グラムと豆も多い。緑黄色野菜も平均的な日本人の場合72.8。沖縄県では106.9。ということで野菜もたくさんとっている。塩に関してはもともと日本人に塩を多く摂るんですけど、これ結構不思議だなと思って沖縄って結構海に囲まれてて、日本列島と比べると限られた地域で囲まれてるんですけど、塩はあまりとってないですよね。
田中ヒロコ:本当ですね。
松原先生:平均的な日本人が12.1グラムで、沖縄県人が10.4グラムということでこういうような食生活をしていたら健康には良いんじゃないかというような結果が出てます。それからですね、2000年、10年後の日本人平均で見てみると10万人の死亡率は大きな大差なくなってきています。男性が634.2。沖縄が632.8と。結局これは食生活、健康思考が高くなってきたからなんじゃないかなというふうに思っているんですが、前と比べると肉が平均的な日本人の場合74.1から77.5。マメ類が70.7から72.5。緑黄色野菜も72が87。比較的野菜を摂っているかなというふうに思っています。ただ沖縄県の人っていうのは肉を圧倒的に食べますね。
田中ヒロコ:そうですね。
松原先生:肉が100.3。あとは緑黄色野菜も圧倒的に食べて97.3。塩分はむしろ減って9.6ということなので、基本は肉をしっかり食べて野菜も食べ、塩分を控えめにしているというふうにやるのが健康長寿につながっているのかなというような結果です。
田中ヒロコ:お肉とかって意外とダメなのかなと思ったら結構大切なんですね。
松原先生:めちゃくちゃ大切ですね。やっぱり健康なご年配の人を見ると、この前新宿伊勢丹に行ってステーキ食べたとかとんかつ食べたって90歳過ぎの人が言ってて。ちょうど真夏の暑い時期で聞いてて、ちょっと僕胃もたれしちゃうんですけどみたいな(笑)
田中ヒロコ:でも食べたいから食べるんですよね。すごいですよね。
松原先生:ですから比較的ご高齢で元気な人って肉好きですよ。めちゃくちゃ好き。
田中ヒロコ:そうなんだ。エネルギーとか、筋肉とかにもいいですかね?
松原先生:基本的にはタンパク質そのものですよね、筋肉に効きます。
田中ヒロコ:そうかぁ。
松原先生:炭水化物がだいたい全カロリーの58%で、タンパク質が15%。脂質27%というふうになっていますが、これが体にいいと言われている地中海食とか、あとアメリカの高血圧に対しての食事の成分と非常に似ているということなので、近代の沖縄食そのものは非常に優れものであるというような結果が出ていますね。でも自然にこういう風にできちゃっている文化っていうのがすごいなって思います。
田中ヒロコ:そうですよね。それって長年のってことですもんね。
松原先生:そうなんでしょうね。僕も沖縄料理大好きでソーキそばとか本当にめちゃくちゃ好きですね。あとジーマーミ豆腐。
田中ヒロコ:あージーマーミ豆腐って固いやつですか?それともちょっと匂いがあるやつですか?
松原先生:ピーナッツ豆腐ですよね。あれは、もうあったらすぐに買い物かごに入れちゃいます(笑)
田中ヒロコ:なかなかでも見かけないんですよね。
松原先生:この前に2個買ったんだよね、大好きすぎて。そしたらさ、1個存在は忘れちゃって賞味期限過ぎちゃって。
田中ヒロコ:ありますよね、あるある。
松原先生:それを見た自分が本当に嫌になった(笑)
田中ヒロコ:でも賞味期限だから食べられたんじゃないですか?
松原先生:一応人に指導している立場だからそういうわけにいかないだろうって(笑)
田中ヒロコ:でも本当に家族に食べられないように冷蔵庫の奥に入れたものが大体切れてたりします。
松原先生:そうなのよ。ちょうどその時調味料を探してたのよ。冷蔵庫の奥に指を入れたら、あ!
田中ヒロコ:わかります(笑)
松原先生:見たら、何これ2週間過ぎてんじゃん。
田中ヒロコ:2週間か1日だったらまだしも(笑)
松原先生:もうね、あれは本当に悲しかった。
田中ヒロコ:先生もやっぱり私たちと同じことやって生きてるんですね、安心します(笑)
松原先生:全然ね。一応料理を妻が家族に気づかって色々やってくれるので、全面的に任せるから、そうするとジーマーミ豆腐、初めは買った当日とかに出るけどいずれ出てくるだろうというふうに思いながら数日過ぎると、当然のごとく記憶の彼方に消えていくわけじゃないですか。記憶に戻ってきた時の悔やしさが(笑)
田中ヒロコ:日々そんな感じですね。
松原先生:ということで沖縄料理は僕それくらい大好きなので長生きできたらいいなというふうには思ってます。
田中ヒロコ:本当です。
松原先生:実はこれだけ料理の話をしているので、こういったタンパク質を多めに取った方がいいですよとか、割合としては炭水化物は大体半分で、脂質は3割弱、タンパク質は15%というような話はしても、実際問題、料理をするということ、あとは買い物と食事とかどれくらいご年配の人に負担をかけちゃっているのかということも考えた方がいいかなというふうに思います。要は料理そのものが辿り着くまで何が障害なのかというのはちょっと考えたほうがいいかなというふうに思います。見てみるとですね、女性の場合なんですけれども、ご年齢が上になればなるほど、買い物とか、あとはその料理そのものが億劫になる方が多い。なのでこういったケースの場合は、デイサービスとかで料理をみんなで作るとか教えるとか、そういうような形でやっていけば自分で栄養をも摂っていけるし、また楽しさも回復できるんじゃないかなというふうに思います。
田中ヒロコ:そうですね。おっしゃる通り、みんなで料理って良いですね。
松原先生:一人だとちょっときついかなと思います。あと食料品そのものの調達がどうしてもその店舗までの距離が高齢になると動くのが怠くなったり、手段がなかったりするということが問題になってくることが多いみたいです。なので最近はある程度のご年齢の方でもスマートフォンとかで、色々オーダーしてアマゾンみたいに届けてもらうこともできるけど、ただ正直生鮮食品とかになると結構勇気いますよね。
田中ヒロコ:世代的に、私もその世代なんですけど、見たいっていうのがあるんですよ。
松原先生:それは僕もそうなんですよね。
田中ヒロコ:見て選ばないと。
松原先生:あとなんていうか楽しみ?だからやっぱり男性よりも女性の方が実は多いんだけど、リハビリの目標として買い物に行けるようにしましょう。買い物に実際行くと今まで歩けなかった人が歩けちゃったりもしていたりするので。だから目で楽しんでっていうのがすごく重要。
田中ヒロコ:そうですよね。スーパーでよくお年寄りに「この豆腐とこの豆腐どっちがいいかしら」とか声かけていただいたりとか「私はこっち買ってますよ」とかコミュニケーションの場にもなるし。
松原先生:地域とかでたまにあるのが、バスって言うかワゴン?ワゴン販売で色々持って来てその地域、団地とかに車を持っていって色々選んでもらう。それを結構楽しみにしている人っていうのはやっぱりいるので、そういうのを周知したりすることも大切なのかな。仮に車椅子とかになったとしてもね、そういう楽しみとかはコミュニティとして提供できるようにした方がみんなが住みやすい街にはなるんじゃないかなというふうには思います。
田中ヒロコ:おっしゃる通りだと思います。
松原先生:食を介してそんな考察をしてみました。