りす:本日は、東京管区気象台 地域防災推進課情報利用推進官の多田英男さんにお越しいただいています。
多田さん、またお会いできて嬉しいです。
多田さん:はい、こちらこそ嬉しいです。よろしくお願いします。
りす:よろしくお願いします。ファンの方もいらっしゃるのではないかと思いますが、わかりやすい説明と、端々にあふれる気象愛、プラス人類愛のようなものがとても感じられて、楽しい会話の時間になっています。
多田さん:ありがとうございます。

多田さんには田無駅改札そばまちテナスタジオでお話を伺いました。
近年、大地震や豪雨水害の発生が相次ぐなか、市民にとっても「防災・減災」は非常に身近な話題となっています。以前と比べ、防災の知識に触れることが増えていますが、わたしたちは覚えた知識をマニュアル化してはいないでしょうか?
この番組では、四季に合わせた「防災・減災」のトピックをあらゆる視点で紹介します。
パーソナリティーを務めるのはアウトドア防災ガイドのあんどうりすさん。
アウトドアで出会ったスキルを楽しくわかりやすく話してくださいます。
アウトドアって大変そう…防災って難しそう…そんなことないんです。
気がついたら防災の知識が身についていた!そんな時間になるはずです。
音声をお聞きいただきながら、文字で情報やデータをご確認ください。
文字情報と合わせてラジオライブラリーもお聞きください。
放送音源
文字情報
天気予報の伝え方
りす:本日は少しマニアックな、FM西東京の悩みも含めてお聞きしておきたいことがあります。
これは皆さんにも聞いておいていただきたいんですが、普通のテレビや他のラジオさんも「こんなことで悩んでるんだな」とわかっていただけるといいかなと思っています。
例えば、天気の伝え方です。
昼の11時の発表で「晴れのち曇り、夜遅く雨、ところにより夜、雷を伴う」。
難しいですね。
こういったような状況の場合に、16時くらいの時点でしっかり曇っていても「昼の11時の発表はこう言ってました」と言っていいのか。
深い悩みですね。こちら、お答えいただけますでしょうか。
多田さん:はい。予報文の表現は、あくまでも「発表時点から見てどうか」ということですので…。
先ほどの晴れのち曇りで夜遅く雨で、例えば16時時点ではもうすでに曇りに入っている状況だろうと思います。ですから「予報通り曇ってますね」とお伝えいただければいいのかな、というふうに思います。
例えば、予報が明らかに変わるとき、「晴れのち曇り」ではなくなるようなときは、11時より後の時間でも随時、新しい内容に更新して発表し直しますので、「最新の予報」をご覧いただければ、というふうに思っています。
ただ、もし例えば「晴れ一本」の予報なのに、16時時点でベタ曇りになっていたというときには、「あらら、外れましたね」と言っていただければ、我々も励みになりますので。


りす: 励みにしてくださるんですね。
多田さん:はい、よろしくお願いします。
りす:ありがとうございます。励みになるなんて言ってくださる気象台の方がいるとは思わなかった。嬉しいです。
多田さん:みんなそうです。
りす:ありがとうございます。自然の事実に忠実ということですね。
気象台と自治体のホットラインについて
りす: 次に、災害時の気象台から、地方自治体などにホットラインというものを結んで連携していて、今支援や助言をしているということで、意外と皆さん知られていなかったりするのですが、これはどういうことなんでしょうか。
多田さん:はい。これは東京管区に限らず全国の気象台ですけれども、管内すべての自治体とホットラインという電話番号の交換を行っていまして、防災担当同士、管理職、災害が起こりそうなときには市町村長さんなど、そこに連絡できる体制を作っています。
実際には、市町村が避難指示を出そうとしているときに、気象台に状況確認をしてくることが結構ありますし、逆に危ないと思うと、我々の方からも電話をかけて、現在の状況とか気象台の感じている危機感を伝えて背中を押すというか、そういうこともあります。
実際の問い合わせはそれぞれですが、解説する状況としては、雨の実況、今後の見通し、土砂崩れに関係する土の中の水分がどうなっているか、川の増水の状況など、最新データを手元の画面を見ながら解説して、自治体さんの対応に役立ててもらう。そのようなホットラインです。
りす:ホットラインでつながっているということですね。
自治体の方も、気象のプロではなかったり、土の中の水分のことまではなかなかわからなかったり、後押ししてくれれば言えるのに、ということもあるかもしれないですから、そのような活動をされているということなんですね。
そこで、質問にはなかったんですけど、「電話で」とのことでしたが、電話が通じなくなってしまった場合はどうされるんですか?
多田さん:通信が止まった場合は、気象庁の中では「衛星電話」で、人工衛星を介して電話する方法もあります。
市町村とつながらなくなった時は今後の課題かもしれませんが、何らかの方法で考えておかなければいけないのだろうなと思います。
りす:急な質問ですみません。
多田さん:いえ。大事な話だと思います。
りす:ありがとうございます。
それから、過去の災害を踏まえて、自治体との連携対策などに変化や改善はあったのでしょうか?
多田さん:はい。このホットラインの体制も含めてですが、ここ10年ほどで、気象台と自治体の連携というのは大幅に改善してきています。
かなり昔の話ですけど、連携がうまくいかなくて住民の方の避難が遅れるということが過去の大災害ではありましたが、最近では、気象台の出す情報と自治体の防災対応がかみ合っている状況だと思います。
大雨で、レベル4で避難、レベル5で緊急安全確保など、報道で聞いたことがあるかと思いますが、この「レベルに応じた対応」というものが整理されて伝えられている。
これが非常に大きいというふうに考えています。
このレベルというのは「緊急安全確保」とか「避難指示」とかですが、最終的にはレベル情報というのは自治体が出すもので、気象台には権限がありません。
気象台が出す大雨警報とか土砂災害警戒情報というのは「そのレベルに達していますよ」ということを示します。
これは「レベル情報」ではなくて、「レベル相当情報」です。
それをうまく組み合わせて、自治体の行動を後押ししています。
また住民の方がレベルに応じて避難行動を取りやすい、わかりやすくしている、というところもあります。
ただ、「気象庁の情報はたくさんあってわかりにくい」という声もいつもいただいていますので、現在、わかりやすい情報になるように検討と準備を進めているところです。
今後、情報を伝えていただく報道の皆さんにも、新しい情報についてご説明する機会を持てれば、というふうに思っています。
りす:ありがとうございます。「レベル相当情報」という名前も難しい感じがしますが、スマホのアプリではその「レベル相当情報」というのが入りますよね。
なので、気象庁が発信しているから、一般の人にはダイレクトに届いているものもあって、自治体はそれを見て判断しますし、自治体が出さなくても「自分のところはすごく危ないから早めに避難しよう」というのに、「レベル相当情報」が使える場合があるということですね。
多田さん:そうですね。気象庁のホームページでも、「レベル相当情報」に応じて赤や紫など色を分けて示していますので、それをもとに自治体も判断するし、住民の皆さんも「逃げなきゃ」など、判断する形で使っていただければと思います。
りす:そうですね。皆さんレベル相当情報というものも、ぜひ覚えておいていただけたらと思います。
コミュニティFMが発信する情報の優先順位は?
りす:さて次の質問ですが、「コミュニティFMが速報的に伝える情報の優先順位は何だと思いますか?」という質問です。
多田さん:はい。やはりコミュニティFMの利点を生かすというか、地域密着の情報をきめ細かく伝えていただくのが大事かなと思います。
今も話が出ましたが、警戒レベル4になった時に、「どの地域が危ないのか、どこに逃げればよいのか」という、地元の情報がこういう時は大事になってきます。
全国、色々な市町がありますけども、独自に「避難スイッチ」という、「ここの川の水がこうなったら逃げよう」とかを決めているところもあって、そういった判断できる材料みたいなものを提供いただければいいのかな、というふうに思います。
これは他でも話していますが、放送で対策できることとして、住民の皆さんに普段からハザードマップを見ていただいて、「どこが危険なのか」「どこに避難所があるのか」、そういったことを伝えていただきたいというふうに思います。逆に、周りにハザードがない、ここは絶対土砂が崩れない、川が全然ないという場所を、人が結構怖がったりすることもあるので、「ハザードがない場合には無用に怖がらない」とか、そのようなあたりを冷静に考えてください、ということも伝えていただければと思います。

※西東京市ハザードマップ こちらからダウンロードできます。
https://www.city.nishitokyo.lg.jp/kurasi/iza/bosai/fusuigai/hazard_map.html
りす:難しいところもありますよね。例えば、ハザードマップで白くても安全じゃないと伝えられていますよね。
水位については、急に川にゴミが詰まって水位上昇というような時には、やはり危なくなるけれども、怖がりすぎてはいけないけれど「白だから安全」と思ってはいけないという加減は、どういうふうに伝えていけばよいと思われますか?
多田さん:ハザードマップも、あれは一つの“想定”なんです。最近は雨も強くなってきていますので、それを上回る場合もあるという可能性は頭に置いておいて、常に最新の周りの状況から、今どうなのかというところを見ていただければというふうに思います。
りす:そうですね。自分でも具体的にちゃんと考えておかないといけないとことですよね。
例えば、高層階に住んでいる方が、あえて水の中入ってバシャバシャ歩きながら避難所まで行かれて、怪我をされたりした。「それはないだろう」みたいな。自分なりのことも考えておくことが大切です。
多田さん:避難所に行くことだけが“避難”じゃないですからね。安全の守り方は、もう各自で持っていていただければと思います。
りす:ハザードマップを見ながら、いろいろ自分なりに考えておけたら、それには普段のお天気に親しんでおくとか、そういうことが大事なのかなと思いました。
りす:本日は、東京管区気象台 地域防災推進課 情報利用推進官の多田英男さんにお越しいただきました。多田さん、ありがとうございました。
多田さん:本日はどうもありがとうございました。

※気象庁ホームページ
https://www.jma.go.jp/jma/index.html
※気象庁西東京市の防災情報
https://www.jma.go.jp/bosai/#pattern=rain_snow&area_type=class20s&area_code=1322900
※気象庁キキクル
https://www.jma.go.jp/bosai/#area_type=class20s&area_code=1322900&pattern=rain_level
あんどうりすの防災・減災 りす便り
https://andorisu.jimdofree.com/

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