まつばらホームクリニック『ラジオ在宅NOW』!
この番組は、保谷駅から徒歩三分の場所に位置する、まつばらホームクリニックの松原清二院長に、日頃医療の現場で感じていらっしゃることをお話頂き、皆様にも在宅医療に対しての理解をより深めて頂ければと思います。
第一週と第三週に本放送、その他の週は再放送をお送りします!
【11月のテーマ】
『生きがいについて』
皆様是非お聴きください!!
西東京市を中心に患者さんの自宅に行き、診察をしている在宅医療専門診療所「まつばらホームクリニック」のホームーページはこちら→https://m-hc.jp/
↓放送内容を文字でもお読みいただけます!
田中ヒロコ:では松原先生、本日もどうぞよろしくお願いいたします。
松原先生:よろしくお願いします。
田中ヒロコ:・・・生きがい。
松原先生:重たいですよね。
田中ヒロコ:いろいろ考えさせられました。
松原先生:僕の患者さんって大体85から90過ぎぐらいの方だと、やっぱり生きがいについて結構悩まれる方がいらっしゃるんですよね。多分それより若いような方っていうのは、地域で言うと社会福祉協議会なんかが設けてるような、例えばみんなで歌いましょうとか、みんなで集まって何かやりましょう、催し物やりましょうっていうのに、社会参画させてもらえるようなのがあると思うんですけど、僕はどちらかというともっと大変なのは、いわゆる超高齢者それがやっぱり難しいんじゃないかなっていうふうに思っていて、そこの支え、支援っていうのを、どうしたらいいのかなっていうのは、常日頃悩んでるんですよね。
田中ヒロコ:確かに、そんなにアクティブにそこに出かけるとかっていうのはなかなかできなくなる・・・。
松原先生:難しいですよね。でもね、一つだけキーワードみたいのがあって、 やっぱり家族が重要で、家族でも誰でもいいってわけじゃなくて、お気に入りの家族っていうのが、やっぱりご高齢の方にいらっしゃる。例えばこの娘さんとか、この息子さんとか、そういう人がいると、 どんな薬よりも元気になれる。おひとり、結構社交的な人で、コロナが世の中に流行ってから、外に出かけなくなっちゃって、その間にやっぱり老化が進んじゃって、どちらかというと肩が痛い、頭が痛いっていうことが進んじゃって。さっき話した同級生がどんどん亡くなっていっちゃうとかいうことって結構物寂しさも感じてる。
「 生きててもな~」みたいなこと言う人じゃなかったんですけど、ここ数年言うようになっちゃったのよ。でもねその人、遠方にいる息子さんが、ふた月にいっぺんか、ひと月にいっぺんくらい、1週間近くいらっしゃるんですよ。
田中ヒロコ:でもすごいですよね。だって来ないですよ?すごい!
松原先生:そうそう、だからその息子さんももう、ご引退されたんですけど、お母様のためだったら、遠方からぴょんと車を飛ばしてくる。
田中ヒロコ:すごくいい息子さんですね。
松原先生:ね、めちゃくちゃいい息子。そうするとその息子さんに会うと、いつも眠れないっておっしゃってるのが、大丈夫になるんです。
田中ヒロコ:そうなんですね!
松原先生:あとは別のケースだと、例えば100歳近いんですけど、ご飯全然食べられない。どうしたらいいんだ。で、息子さんがいて、すごく律儀な方で、「こういうふうに食べないと駄目でしょ、お母さん!」とか言って、そうすっと、絶対に置かれてるその食べ物は食べない。その息子さんがいると。
だけど、娘さんがいると、ほぼ完食。
田中ヒロコ:えーー!同じおかずでも?
松原先生:同じおかず。
田中ヒロコ:それは・・・なんででしょう?
松原先生:やっぱり好きな人と一緒にいるとやっぱり幸せなんじゃない。
田中ヒロコ:そうなんですね。
松原先生:実は、高齢者の生きがいについて、内閣府がまとめたデータとかで、例えば孤独っていうのは、伴侶がいなくて1人で生活してる人が生きがいがないとかそういうわけじゃなくて、面白いのは、人との交流があるのが、実は生きがいに関係してきているとも言われてる。 でも人との交流も、誰でもいいわけじゃなくて、さっきお話したように、例えばいつもワーワー言う息子さんは、そのお母さんからしたらちょっと NG かもしれないけど、娘さんだったらやっぱり心が受け入れられるとかと。
田中ヒロコ:確かに・・・でもね、合う合わないっていうのがやっぱりありますもんね。これ、うちの母とかもなんか私が「もうやらないで!」って怒ることはやりますよね。「これやらないって言ったよね?」っていうやつは必ずやめないです。繰り返すっていう感じですね。だから何か言い方もあるんですかね。やっぱり何かその息子さんとかの「こうしないと駄目でしょ!これやって!こうやって!」ってなると、 またお母さんとしたら気持ちが何か進んでいかないみたいな・・・子供じゃないけど・・・。
松原先生:そうだよね。だから人への伝え方というか怒り方というかコーチングの仕方。それは、今まで自分が子供だったとき親に言われたけれども、今は立場が逆転してくると言っちゃうところもあって。でもね、そこは僕がお医者さんとして介入するかっていうと、そこは介入はしないですね。やっぱ親子間ってちょっと違うから、そこまで関わっちゃうと、ちょっと難しいかなって。
田中ヒロコ:でもやっぱり、 自分が気に入ってる人とコミュニケーションとれてる方が、幸福感が高くなるってことですもんね。
松原先生:逆に、ヒロコさんってさ確か3姉妹だよね?
田中ヒロコ:はい、そうです。
松原先生:それで例えばヒロコ子さんが一緒だと、お母さんはご飯食べるけど、例えば他のね、お姉さんたちがいたときはご飯食べないとか、何かそういう違いって何かありますか。
田中ヒロコ:それはないと思いますね、結構食いしん坊なので、ないと思います。ただ、うちは結構激しいタイプの性格なので・・・。
松原先生:お母さんが?
田中ヒロコ:お母さんが。なので、私のことは一番合わないって言ってましたね。そこがまた複雑なんですね。私の気持ちも結構複雑で。姉とかは一切面倒は見ないですね、うちは、。何て言うのかな・・・この間、先生の患者さんの息子さんみたいに、泊り掛けてくるとか、そういうことはないですね。逆に来ても早く帰りたいって言って帰っちゃう。
松原先生:そこらへん人によるじゃん。例えば、お母さんの立場からして、僕は知らないけど、お母さんとヒロコさんの立場で、ヒロコさんが「ああしたほうがいいんじゃない?こうしたほうがいいんじゃない?」っていうのが、お母さんからしたら、放っておいてほしいっていうことで、ちょっと・・・っていうのがあるのがあるのかもしれないね。
田中ヒロコ:私って基本的に言わないタイプなんですよ。
松原先生:あ~そう?
田中ヒロコ:本当に言わないんですよ。何も言わなくって、子供にも言わないタイプなんですけど、さすがに水を出しっぱなしとか、冷蔵庫を全て漁って食べちゃうとか、そういう、本当にやって欲しくないことは、すごいしつこく言うんですね。それをや言われるのは嫌みたいですね。だって、水出しっぱなしって、水道代すごい大変じゃないですか。忘れちゃうとか、そういうところ? なんかもすごい嫌な顔して・・・。
松原先生:言わないと言いながらも、近しい距離にいるから言っちゃうのは、結局ヒロコさんだよね?
田中ヒロコ:そうですね。
松原先生:しょうがないのかな(笑)?
田中ヒロコ:っていうか、なんか私の悩み相談みたいな、先生のラジオで、私があの悩み相談をしてるみたいな(笑)。でもね本当にね、患者さんの話を聞くと、やっぱり高齢の方本人が一番大変なのかなっていう感じはしますよね。
松原先生:でも、なんか話聞いてると初めの焦点ってさ、患者さんだったんだけど、患者さんもやっぱり実はコミュニケーションの取り方っていうのをわかってもらえれば、支援してくれる人がよりスムーズに支援しやすいっていうのは、あるんじゃないかなっていうのは、今聞いてて思ってて。それがある程度60、70ぐらいから人間関係を子供と、もしくは周りと作っておくっていうのが、理想なんじゃないかな。
田中ヒロコ:でもそうですね、おっしゃる通り。ちゃんと人間関係作っておくって大切ですね。
松原先生:なんかさ、やっぱりいい大人だからさ、あんまりべっとりっていうのも、 時間無いし、お互いの生活もあるし、それは無理だよね。だけど会ったときはいい距離感で、いい関係でいれれば、ずっとお互い快適なんじゃないかなっていうのは、聞いてて思った。そしたら、もしかしたら身内でね、支えることができる、高齢者の虚無感とかそういうのが解消される一助にはなるのかなって聞いてて思ったけど。
田中ヒロコ:そうですね。わかりました。私もちょっと頑張ろう!
松原先生:本当そうだよね、僕もなんかさ、自分の話になると、自分の義理の親御さんは新潟にいて、妻が子供を産んだ直後で、大変じゃん、女の人。子供よく熱出すし。お母さん全然寝れないしさ、授乳があって。で、寝れなくて、妻も倒れ、子供も倒れっていうことがあったときに、しかも僕が長野の病院にいたたときで。長野の山奥で、簡単に支援がやっぱ得られないわけよ。これどうしようかなと思って、新潟のご両親に電話かけたら、 嵐の中駆けつけてくれたんだよね。俺はそういうことがあってから、この親御さんに何かあったときは、俺も絶対何でもするって思って。やっぱり恩を感じてて、 妻の親御さんが、病気でなかなか診断つかなかったときに、わざわざ僕、新潟まで行って診察してきて、これはもうこの病気だから、この病院でって言って紹介状まで書いて行ってもらったり、そしたらいい方向に向かったんだけど。だから何か困ったときに助け合うっていうようなことをやったら、何とかしたいなっていう気持ちはあるけどね、うん。